アマゾン

スレ一覧
380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
 ┗232

232 :げらっち
2024/06/10(月) 12:41:11

 すると廊下の向こうから何かが近付いてきた。
 工事の騒音で気付かなかったが、十分うるさい排気音。ゴーカートのような乗り物が2台走ってくる。廊下を車で走るなって習わなかったのだろうか。赤と青の2台は止まり、男女の運転手が降りてきた。

「やあやあコボレンジャー!」

 背が高くスレンダー、お団子を2つ結った女子生徒と、小柄でこちらも痩せており、坊ちゃん刈りの男子生徒。2人とも顔が長細く、生身の流線型を思わせた。そして、そろいのクリーム色のレーシングスーツを着ていた。
「誰? あなたたち」
「アタイはエフワンレッド穂村愛瑠(ほむらあいる)! 3年生!」
「同じく、エフワンブルー穂村瀬那(ほむらせな)! 2年生!」
 愛瑠と瀬那はポーズを取る。

「排気戦隊エフワンジャー!! 電車戦隊トレインジャーや大食い戦隊デカモリファイブを下したのはアタイたちだよ!!」

 大仰な名乗りだ。先方はこっちのことを知っているようなので、自己紹介は省略する。

「コボレンジャー、これ見てよ」
 愛瑠は紙面を差し出した。《週刊☆戦隊学園》だ。戦ー1で勝ち残っている戦隊の、優勝予想ランキングが掲載されていた。


 1位 エリートクラス 赤春戦隊エリートファイブ
 2位 機械クラス メカニ戦隊デザインジャー
 3位 格闘クラス 柔道戦隊イッポンジャー
 4位 機械クラス 建築戦隊ジュウキマン
 5位 機械クラス 排気戦隊エフワンジャー
 6位 エリートクラス ドル箱戦隊リッチマン
 7位 エリートクラス 検索戦隊グーグルファイブ
 8位 スぺクラス 楽団戦隊ピアノマン
 9位 生物クラス 絶滅戦隊ジュラシックファイブ
 10位 化学クラス 超戦隊サイコマン
 11位 忍術クラス 死間戦隊カンカンジャー
 12位 武芸クラス 羽人戦隊バドレンジャー
 13位 格闘クラス 力戦隊ムキムキマッスルレンジャー
 14位 武芸クラス 飛行戦隊テンクウジャー
 15位 生物クラス 深海戦隊リュウグウジャー
 16位 武芸クラス 弓道戦隊サンアーチャー
 17位 格闘クラス 空手戦隊カワラバスターズ
 18位 化学クラス UFO戦隊タキオンジャー
 19位 スぺクラス 乳上戦隊ボインシスターズ
 20位 生物クラス 爆牛戦隊トーギューファイブ
 21位 忍術クラス 強生戦隊サバイブマン
 22位 スぺクラス 配信戦隊ジッキョウジャー
 23位 忍術クラス 遁走戦隊ニゲルンジャー
 24位 クラス混合 虹光戦隊コボレンジャー


 私は顎ニキビを触りながら表を黙読した。
 おっと、悪化するので余りいじらない方が良い……
 コボレはここまで快進撃を見せているに関わらず、どん尻のどん尻だった。しかし24(ニジ)、良い順位じゃないか。
「で、これが何?」
「要領悪いな高速で理解してよ! アタイたちエフワンジャーは同じ機械クラスのジュウキマンがちょ~っとジャマなのさ。目の上のタンコブなのさ」

 言われて見れば、あのジュウキマンもまだ勝ち残っている。どの戦隊も、圧倒的な大きさを持つジュウキオウに太刀打ちできずにいるのだ。

「そこで提案さ。コボレンジャー、アタイたちとちょ~っと手を組まないか? 2vs1ならジュウキマンを潰せるかもしれない」

 戦ー1はどんなことをしても勝ち残ればいいので、談合も八百長も教師陣が公認している。
 どんな手を使ってでも勝つのがプロの戦隊だ。

「悪くない提案だけど、私たちに何か得があるの?」
「得も何も優勝を目指すなら全戦隊を潰す必要がある。残った者で団結してなるべく強い戦隊を潰しておかないと優勝はジュウキマン!! なんてことになる、そしたらちょ~っと都合悪いだろ?」
 愛瑠は私や佐奈以上の早口でそう言い終えた。
 この女が信用できるかは微妙だが、コボレを優勝に導くには駆け引きも必要になりそうだ。
「……いいよ、でも何で私たちに声を掛けたの? 手を組むならもっとおあつらえ向きの戦隊がいくらでも居ると思うんだけど」
 瀬那が「最下位だから」と言いかけたが、愛瑠がその口を塞ぎ、
「コボレンジャーが一番役立ちそうだからさ!」と言った。

「ふうん、まあいいよ」

 私が承諾すると姉弟は「じゃあ工事が終わった明日ね!」と言って車に乗り、Uターンし去って行った。
 私は佐奈に言う。
「というわけだから、明日メカノ助を出撃させてほしい。巨大化戦は佐奈の担当だ」

 佐奈はスケッチを続けながら「うゆ」と言った。

[返信][編集]



[管理事務所]
WHOCARES.JP