アマゾン

スレ一覧
380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
 ┗241

241 :げらっち
2024/06/10(月) 12:46:53

 徹夜で作戦会議をしたが、何も妙案は出ず、佐奈は目の下にクマを作って、頭を抱えていた。
「あああああ……どうしよう……」

 このままではにっちもさっちゃんも行かないので楓、凶華も呼び、秘密を打ち明けて、一緒に考えてもらうことにした。

「そのダンシは学園の生徒なんだよね?」と楓。
「いえす。身長160の小柄な甘いマスクのカワイイ系ダンシで頭が良くて戦士としても優秀なだいすけくん」
 そんな生徒、学園に居たっけか。
「マジ? そんな子に声掛けられたの?」
 楓は右目で引いてるような目を、左目で羨ましがってるような目を佐奈に向けた。
「で、だいすけくんは、さっちゃんのことを175センチの美少女だと思ってるんだよね?」
「いえす」

 顔が見えないチャットでの交流は恐ろしい。相手が自分を偽っていても気付きにくいのだ。相手は猿かもしれないし、AIかもしれない。

 楓は親指と人差し指でチェックマークを作りその上に顎を乗せ、何か考えている素振りを見せたが、実際は頭は回ってないのは見え見えだった。
「牛乳を飲んで30センチ伸ばすとか!!」
「ふざけてないで実現性のある提案をしてくれる?」
「……! 折角さっちゃんのために考えてるのに! ていうか例え身長を誤魔化せても《美》少女ってとこはどうにもできなくない?」
「あもしかして喧嘩売ってます? いいんですよあんたのGフォンをハッキングしてヤバい画像を引き出して校内に拡散させることぐらい簡単にできますし」
「何だと! 蠍軍団けしかけるぞ!!」
 私は殺意のガールズトークに割って入り、まあまあとなだめた。

 佐奈はやつれて肌は土気色になり、黄疸ができていた。
「会ってみたら身長143のインキャメガネだってわかったら失望しますよね……会うの中止します……チャットの中だけで愛し合うことができればそれで良いの……儚く切ない、叶う事無き恋なの……」

「凶華、あなたはどう思う?」

 犬は漫画でドミノを作って遊んでいた。
「わ、何それやおい?」と楓。

「オイラには何が問題なのかわからないな。会ってみりゃいいじゃん。実際に顔を合わせて、本物のお前を見せてやりゃいいじゃん! 本当に好き同士なら、姿は関係無いんじゃねえの?」

 よく言った、凶華。
 だが佐奈は納得せず避難訓練のように机の下に引き籠ってしまった。

「しょうがねえな、だるまさんの一日!! だーるーまーさーんがー、着替えてトイレ済ませて歯も磨いてだいすけに会いに行く!!」

 魔術が発動した。凶華の俺様ルールに逆らえず佐奈は机から飛び出し着替えてトイレに行き歯を磨き猛ダッシュで部屋を出た。
「止めてえ~~!!!」
「佐奈、待ち合わせ場所はどこなの?」
「時計塔~~!!」
 佐奈は足をぐるぐる回転させ走る。私たちは彼女に続いて時計塔に向かう。
「待って、止めて、心の準備がまだだし会うなら会うでもっとオシャレしなきゃだしコンタクトも~~!!」

 そうこう言ってるうちに時計塔に着いた。大時計は10時の5分前を示している。
 体力の無い佐奈はそこに来るまでに疲れ果ててしまい、膝に手を突いて、ぜえはあと荒く息をしていた。髪も乱れまくっている。
「待ち合わせは何時なの?」
「10時……」
「あと5分じゃん!」

 佐奈は逃げようとしたが、楓と凶華がそれを羽交い絞めにした。

 長針に連れられ、短針も動く。10の字に重なる。

「だいすけくんが来る……」

 その時、時計塔の裏から男子の声が聞こえた。

[返信][編集]



[管理事務所]
WHOCARES.JP