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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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264 :げらっち
2024/06/22(土) 23:22:21
光速で赤い車が現れて公一を撥ねた。公一はきりもみ回転しながら信号に突っ込んだ。信号はプッチンプリンの底の突起のようにプッチンと折れ、倒れた。
公一は頭から血を流して呻いていた。
「ぎゃあああ~!! 痛い~!! 何すんねんボケナスビ!! うすらとんかち!」
「信号無視するお前が悪いッ」
赤い車から、赤・青・黄、三原色の戦士が降り、公一に向けてポーズを取った。
「私は丹下義善(たんげぎぜん)! 正義の使者、ジャスティスレッド!」
「同じく、ジャスティスブルー!」
「同じく、ジャスティスイエロー!」
「正義戦隊サンジャスティス!!! 悪い事をする奴らは、成敗するぞ!!」
○○レンジャーや○○○○ファイブが主流な中で、サン○○○○は異例中の異例だ。しかも男だけの3人戦隊。
サンジャスティスは車道の真ん中で決めポーズを取っていた。車が渋滞しクラクションを鳴らしている。こいつらの方がよっぽど交通ルールを無視している。
凶華は彼らに駆け寄った。
「おいお前ら! 正義が何か知ってるか?」
ジャスティスレッドは自信満々に言う。
「教えてやるぞ、コボレスター! 法律がこの世に、校則がこの学園にルールを定めている!! みんなで決めたルールなのだ。それが民主主義だ! ルールを守る、これが正義だ!! ルールを破る、これが悪だ!!」
一理あるような無いような理屈だ。
それが民主主義だとしたら、無法者を裁けるのは、裁判以外に無いだろう。
サンジャスティスはわっはっはと、胸を逸らして笑った。見ざる聞かざる言わざる、ならぬ、恥を知らざるだ。クラクションが鳴り止まない。
私は彼らに注文を付ける。
「正義と悪で割り切れるほど単純な世界じゃないと思うな」
3人は揃ってこっちを見た。
「戦隊としてあるまじき発言をするな、コボレホワイト!」とレッド。
「割り切れなくても、割り切るのが我々だ!」とブルー。
「悪に正義の鉄槌を下すのが、戦隊の役目だ!」とイエロー。
めんどくさい。
「はいはーい、質問です。戦ー1はどうしたんですか?」
楓が素朴な疑問を口にした。
「残り20戦隊の名簿にサンジャスティスの名前が無いけど……」
サンジャスティスは一瞬、狼狽えたように見えたが、やがて言った。
「戦ー1などくだらない! 正義の味方同士が争うなど不毛だから、開幕早々、一番に辞退してやったのさ! わはははは!!」
きっと弱くてすぐ負けたのだろう。
彼らが車道の真ん中からどかないので、クラクションは大合奏を始めていた。
「取り敢えずそのダサい車をどかしたら?」
私はサンジャスティスが乗っていた赤い車を指さした。
竜の顔を模してあり、稲妻のような装飾が沢山付いており、車体には墨で「自分に打ち勝つ!」「努力は裏切らない!」と手垢まみれの座右の銘が書かれていた。
「正義之車(じゃすてぃすぐるま)を、ダサいって言うんじゃない!」
「うわ、名前もダサい」
「大変だぞ、ジャスティスレッド!」
ブルーが言った。
「西校舎で、クリアグリーンがポイ捨てをした、との通報が入った!」
「何だと! 絶対に許せん!! 今すぐ倒しに行かなくっちゃ!! 乗れ!」
3人はジャスティス車に乗り、出発した。うるさいのがやっと居なくなった。
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