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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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271 :げらっち
2024/06/29(土) 19:38:24
「うげ、公一! いつからそこに?」
「はなからや!!」
ひっそりした屋上に3人目の登場人物が居たとは。影の薄さ、気配の無さ。キミ、一流忍者になれるよ。
痩身の忍者は私に近付いてきた。
「七海、赤坂先生と蜜月関係にあるん? 生徒に手え出す教師も糞やがお前もお前やな。色気使って誘惑したんか!?」
公一は私の胸元に0.1秒だけ目を通した。さりげなくやったんでしょうけどお見通しよ!
「胸見んなスケベ」
「はぁ!? 見とらん見とらん!! 誰がお前のぺ……」
公一はペチャパイかペタンコと言おうとして口をすぼめた。第三候補はペラペラの俎板だ。そんなペで始まる語群が当てはまらないくらいには、私の胸には栄養が行っている。
「とにかく見とらん! あと話逸らすな!! お前は男をたぶらかし過ぎや。凶華の次は先生にも色目使って……」
「誤解に次ぐ誤解だよ。バッカだなー」
私はご丁寧に説明する。
「凶華は共感覚持ちだし、コボレのカラーにぴったりだから仲間になってほしかっただけ。そもそも男子じゃないし。いつみ先生は虹の描き方を教えてくれた、私の恩人」
「先生を下の名前で呼んでる時点で脈ありや」
うっ……
「赤坂先生、ね」
ちょっと体が火照ってきたぞ?
「しつこいやだやだ。それよりコボレのみんなにリマインドしないと」
私はコボレメンバーに、校外学習の持ち物をめいめい用意するように命じていた。
リーダーの私が全て揃えてしまってはみんなの成長にならないし、全員で少しずつ調達するほうが各人の負担が減り、ミスもしにくくなると踏んだ。何も、私が準備するのがメンドカッタからではない……
楓は生活品を
公一は装備を
佐奈は武器を
豚は食べ物を
凶華は娯楽を
持ってくるように!!
私はGフォンでフリックの早打ち、メールを皆に送信した。
だが凶華だけはGフォンを持っていない。後で本人に伝える必要がありそうだ。
公一はまだ嘆いていた。
「あーもうアカンわリーダーが二股しとる時点でコボレンジャー解散の危機やー!!」
バカらしいな。
「そうだよ。二股だよ」
「え!?」
「2つの足で先生と凶華を踏ん付けてる。私が虹を見るための踏み台にね」
氷魔法を使った覚えは無いのに、公一はフリーズした。
「悪女やなこいつは」
「そうだよ知らなかった?」
太陽はとっくに西の国を照らしに行った。今は恒星に代わり衛星が空の当番をしている。
「一緒に虹を見ようよ。それとも、星空でもいいのだけど」
私は顔を上げた。昼間と違い、遠慮なく天を見上げることができる。
公一も私につられて上を見た。
「……きれいな星空やなあ」
黒い空に輝く、星のイルミネーション。137億年かけて作られた、人間にはとても描き上げることのできない絵画。
「星がきれいって教えてくれたのは、あなただよ」
また公一と星空を見れて嬉しい。
目線を戻すと、彼とピッタリ目が合った。
「……月明かりだときれいやな。べっぴんさんや」
「太陽の下だとブスの対義語だねありがと」
「ん? 類義語やろ?」
「確かに対義語の対義語は類義語だね」
そんな難解な話に移行しつつあると、階段扉がバァンと開いた。
「何してんだよー!! 準備が終わったら遊んでくれるって言っただろ! 早く遊ぶぞ!!」
コボレの星、凶華だ。
「ごめんお待たせ、今行くよ!」
ついでに明日の持ち物も伝えることができた。凶華が持っていくのは娯楽品だ。本当に必要かどうかは怪しいけど。
この後、みんなで双六をして遊んだので、結局夜更かししてしまう羽目になった……
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