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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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274 :げらっち
2024/06/29(土) 19:39:45
9時を回った頃、ようやくバスが停車した。
「到着だよ、お疲れ様。まあ本当に疲れるのはこれからだけどね♪ さあみんな、降りてくれ」
いつみ先生の指示で、私たちは次々とバスを降りた。
曇り空で良かった。晴れていたらアルビノとしてキツいし、単に暑いだけで体力も気力も吸われてしまう。
森の中の開けた場所。四方が緑で、学園がどっちなのかさえわからない。
動物の本能か、私たちは身を寄せ合って固まっていた。
すると、バスの近くに停まっていた赤いリムジンから、天堂茂とエリートファイブのメンバーが出てきた。
そして最後に、2メートル近いがっしりとした体格の男性が降りた。赤いスーツを着込んでおり、さながらスーパーマンのよう。日本国旗をマントにし、半月型のサングラスを掛けているこの人は。
「天堂任三郎さんだ!」と生徒。
「理事長!」と青竹先生。
「お世話になっております!」と緑谷先生。
まるで水戸黄門が印籠を見せたかのように、教師も生徒もかしこまった。だが私だけは頭を下げることも無く、ガンを付けまくった。するとグラサン越しに目が合ってしまった。
天堂任三郎は口を開いた。
「君は……」
いつみ先生がやってきて、私の背中をポンと叩いた。
「この子は小豆沢七海、僕の自慢の生徒さ♪」
「そうか」
天堂任三郎は私の爪先から頭頂まで流し見て、イラストの差分のような作り笑いをした。
「白いな。個性的で良い」
「これは障害。個性ってぼかした言い方は嫌いなの」
私がそう言うと、ピリ、空気が痺れた。いつみ先生はクスッと笑った。
天堂任三郎は顎をしゃくれさせ、そして言った。
「シティ13の出だな?」
「障害者を寄せ集めたシティから戦隊学園の入学者が出たことに驚いた?」
「いや。むしろ喜ばしい事だね。私たちの、障がい者への慈善活動が実を結んだと言える」
何とも恩着せがましいというか上から目線な言い方だ。
「その節はどうも」
どうも、そう言いつつも頭は1ミリも下げる気は無い。
数秒間私と天堂任三郎は睨み合っていたが、やがて相手が折れた。スーパーマンは国旗のマントをはためかせ、「始めるぞ」と、教師陣に指示を出した。
先生たちはバスの荷物入れから機材を取り出し、組み立て始めた。
公一が私の肩を叩いた。彼は青汁を飲んだみたいに苦い顔をしていた。
「天堂任三郎に喧嘩売るとは度胸ありよるなあ……」
「別に、喧嘩売っちゃいないよ。ただ媚びるのが嫌いなだけ。これがデフォルトだけどご不満で?」
「フン、お前は父上の凄さを理解していないのだ」
天堂茂がポケットに手を突っ込み、こっちを睨んでいた。
「理解できないなら何度でも教えてやろう。父上はニッポンジャーのニッポンレッドであり、2020年には星十字軍を討伐し戦隊のトップに君臨されるようになった! 戦隊連合の議長であり、戦隊学園の理事長なのだ! お前なぞすぐにでも退学にできる! あのような不敬な態度は今すぐに改めるべきだ」
天堂茂は私の足下に喀痰を吐いた。あなたの態度も大概じゃないか。
「七海に何すんねんてめえ……!!」
公一は奴を詰めようとしたが、天堂任三郎が近くに居る事を思い出したようで、縮こまった。
「全く、何故オチコボレンジャーが校外学習に来て居るのだ。戦ー1でまだ敗退していないのか!?」
「きっと何かの間違いですよ」
「あんな奴ら茂さんの敵じゃないですから!」
エリートファイブのメンバーが胡麻をする。
「もしまた喧嘩を売ってきたら、俺たちがあの落ちこぼれ共の答案用紙に、✕をくれてやりますよ!」
くだらない奴ら。
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