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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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275 :げらっち
2024/06/29(土) 19:40:11

 先生たちはドライブインシアターのような、大きなスクリーンを用意した。

「それでは各1列に並ぶように!!」
 緑谷先生が大きな声で戦隊名を読み上げる。
「化学クラス、超戦隊サイコマンの5名! 武芸クラス、飛行戦隊テンクウジャーの3名! 生物クラス、深海戦隊リュウグウジャーの5名! クラス混合、虹光戦隊コボレンジャーの6名! エリートクラス、赤春戦隊エリートファイブの5名! 忍術クラス、強生戦隊サバイブマンの3名! クラス混合、ロープレ戦隊クエストファイブの5名!」

 7つの戦隊は画面に向かい、それぞれ縦1列に並んだ。コボレは真ん中の列になった。
 各戦隊のリーダーが先頭となり、あとは自然に背の順になった。私の後ろに佐奈・楓・凶華・公一・豚の順で立っている。ちなみに完全に背の順になる場合は、私は4番目に入る。
 少し気になる戦隊があった。右端に位置するクエストファイブ。その先頭に立つ女子は……魔法クラスの長井華。例のぶりぶりぶりっ子だ。

 先生たちは四方に散らばっている。敵に狙われないよう警戒しているのだろうか。

 いつみ先生はスクリーンの前に立った。
 マイクは無しに、喋り出す。

「改めて、おはようしょくん。さて、ワクワクで眠れなかった子は地獄を見るよん。何しろ外の世界は寝床を確保するのも一苦労、下手に眠れば怪人の餌食、不眠不休のサバイバルだからね♪」

 生徒たちは急きょ青ざめる羽目になった。前途多難だ。

「まあまあ、そう疲れた顔をするな」

 疲れさせたのはあんただ。

「きみたちは《赤の世代》だ」

 ここにきて、知らない単語が出た。
 私が尋ねるより先に、背後から質問が飛んできた。凶華の声で。
「はいはーい! 赤の世代って何だ?」
 すると私の右隣に立っていた天堂茂が、例によって嫌味を排泄した。
「赤の世代を知らないのか? おいおい、こりゃ傑作だな! 時計は読めますかー?」
 でも凶華は強かに返す。
「知らないことを聞くのが悪いか? お前くっっさいぞ。鼻がもげそうだお」
 凶華は指で鼻をつまんで言ったので、語尾が可愛い感じになった。

「いい質問だね♪」
 先生はニコニコしていた。
「そんなきみたちのために映像を用意してある。まあ見てくれ」
 先生が合図すると、スクリーンに、映像が流れ出した。
「何だこれ! 最新の紙芝居か?」と凶華。
「100%違う」と佐奈。

 画面に大きく、校長先生の顔が映った。
 この日のために録画された物だろう。生徒も先生も天堂任三郎も、その映像に注目した。


『皆さん、お疲れ様です。ご存じのことかと思いますが、私は落合輪蔵。本学園の校長です』


 それはあくまで「顔のみ」の映像だった。その身体、特に下半身は、映らない。映さない。
 私は少し寂しいような気持になった。私は一度校長室に通され、幸運にも校長先生と対面する機会を与えられた。その時知ったのだが、校長先生は歴戦の後遺症にて、下半身不随になっている。

 別に、隠さなくても、良いのに。
 それは誇りであり、恥ずべきことでは無いのに。

 映像の校長先生は、自身がいつも寝たきりであると悟られたくないのか、ハキハキと話した。

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