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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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276 :げらっち
2024/06/29(土) 19:40:26
『2028年4月1日、赤の日。世界の半分が赤く塗られ、人類の半分が亡くなりました。世界は大きく変わりました。悪が生まれ、相対的に、正義も確固たる物となったのです。
世界はヒーローを必要とするようになりました。戦隊学園は2021年に開校しましたが、赤の日を境に、私はより強く、次代のヒーロー育成に力を注がねばならないと思うようになりました。
中でも特に、ヒーローにふさわしい力を持つとされる世代があります。
2028年度に生まれた、皆さん。
そうです。今年の1年生の皆さんこそが、《赤の世代》なのです。
皆さんは、ダイヤの原石です。先生たちには、熱く石を磨いてもらう。皆さんには、早めに外の世界を見てもらい、実戦的な訓練をしてもらう。入学式でもお伝えしたように、未来の平和は皆さんの肩にかかっています』
そう言い終えると、校長先生は改めて姿勢を正し、静かに、深くお辞儀をした。
『世界をよろしくお願いします』
その際、胸元までが映ったが、きちんとスーツを着ていた。車椅子の上で、懸命に座位を保っているのだろう。
本当に立派な人だ。
ここで映像は終わった。
「赤の世代……そんな特別な存在だったんですね、うちら」
私の背後で佐奈がそう言った。
「その通りだ」
いつみ先生が話の主導権を取り戻した。
「今年の1年生は、赤の日以降に生まれた子供たちが初めて戦隊学園に入学した、特別な学年なんだ。その中でもきみたちは上位の戦隊だ。通例では校外学習は2年になってから行うが、きみたち特別な世代を早く外の世界に慣れさせるために、こうして早めの校外学習を行っている」
今の2・3年に在籍するのは赤の日以前に生まれた世代であり、今の1年とは大きな隔たりがある。
そう考えると今までの2倍の重力を受けたかのようなプレッシャーが感じられた。
それを見透かしたか、いつみ先生は朗らかに言った。
「やることはシンプルだ。身構えなくていい」
「やることとは?」と天堂茂。
いつみ先生は有邪気に笑った。
「学園に帰還しろ。以上だ」
……え?
私は訴えた。
「何ですかそれ? あまりにも放任過ぎませんか?」
「勿論、教師陣は最低限のバックアップはするさ。でもあくまで控えの要員だ。きみたちは怪人が潜む森を抜け、戦争の世界を横断して、学園に辿り着く。家に帰るまでが遠足だ。じゃ、無事に帰って来いよ♪」
そう言い終えるや否や、先生は火の玉になって燃え上がるように消えた。
「ちょ、待!」
生徒たちは周りの大人に縋る。だが教師陣は次々と姿をくらましていた。
ブラックアローンは影の中に潜り、青竹先生は謎の薬品を飲んで透明になり、緑谷先生は走り去り、黄瀬先生はバスに乗り、桃山先生は突如現れた虎に乗り居なくなった。
「ち、父上! もう少し説明を!!」
天堂茂はパパ上に泣き付こうとしたが、天堂任三郎は背中を見せリムジンに乗り込み、「私の息子なら勝ち残って見せろ」、そうとだけ言って去って行った。
私たちは置いてけぼりになった。
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