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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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278 :げらっち
2024/06/29(土) 19:41:08
気付かれないようにその場を離れようとすると、天堂茂の声が聞こえた。
「そうだお前ら、何故校長が滅多に顔を見せないかわかるか?」
天堂茂はGフォンでコールをしつつ、余裕の笑みを見せ、腰巾着たちに問題を出していた。
「わかりませんね」
「ちょっとは頭を働かせたらどうだ? 父上から聞いたんだがな。校長は身障なんだよ! 学園のトップがオムツ穿いてると知れればすぐに悪の組織に攻め込まれてしまう。威厳を保つために人前には出ないというワケだ。全く情けない話だよな、笑えるだろう?」
「そいつは面白いですね、あははは!」
エリートファイブのメンバーは親分に忖度して笑い出した。
「つまり失禁してるってワケですか!」
「そうだ。下の世話も自分じゃできないってワケだ!!」
ぷつん。
私は急騰してしまった。
校長先生の殊勝なさま。天堂茂というクズが、そんな偉大な人物を浅薄にけなしていることへの憤り。こんな奴が、ニッポンジャーの跡取りを名乗り、世界を託されている不条理への怒り。それら全てが一気に押し寄せた。
「だまれ!!!」
私は茂みから飛び出し天堂茂にタックルを噛まし、地面に押し倒し、首を絞め、顔面に拳を叩き付け、ようとした。でもすぐにエリートファイブの大男たちに取り押さえられた。
「七海ちゃん!」
「おのれてめぇら七海に何すんのや!!」
後ろから公一たちの声が聞こえるが、恐らくみんなもエリートファイブの面子にホールドされている。
私はエリートファイブの男2人に、両腕を掴まれ、地面に組み伏せられた。
天堂茂は転がっていた。
その1メートルくらい向こうに、奴のGフォンが落ちている。私にぶつかられて吹っ飛んだようだ。電話がつながったようで、『茂、どうした?』と天堂任三郎の声がしていた。
「少しお待ちください、父上! お話があったのですが、邪魔が入りました故!」
天堂茂は起き上がると、私が触った箇所をわざとらしく払った。
そして私を見下し、軽蔑の笑みを見せてきた。
「触れるな穢らわしいガイジ。いきなり暴力とは、校長が身障ならお前は白痴か? これは立派な校則違反、いや犯罪という物だぞ。父上に言い付けて、お前もお前の戦隊も、今すぐ退学にしてやるからな?」
天堂茂は土の付いた靴で、私の頭を踏ん付けた。ゴリ、私は地面になすり付けられた。土の味。
「お前など戦隊道を堕落して、体を売ってキャバレンジャーにでもなるのが関の山だ」
「あああ!!!」
私を圧迫していた靴が離れた。叫んで天堂茂に突進したのは、佐奈だった。
「酷いこと言うな!! 何もわからない癖に!!」
「ダメだよさっちゃん、落ち着かないと!」
楓が佐奈に追いついて彼女の口を押さえた。さっきと立場が真逆になっているではないか。
天堂茂はそれを見て目を丸くしていた。
「やはりガイジの仲間はガイジというわけか、予想以上だな」
私は首を無理矢理反らせ、天堂茂を睨め上げた。
「私のことはいくらでも貶めていいよ。でも私の仲間を悪く言わないでくれる? あなたには仲間なんて1人も居ないからわからないでしょうけど。それに、校長先生のことをそんなふうに言うあなたは正真正銘のクズだ! 校長先生は世界を守るために戦って今の状態になってしまった。あなたの父親の欺瞞なんかとは違う本当の戦いでね。学園があるのも私やあなたが生きてられるのも校長先生のお陰、そんなこともわからないあんたにヒーローを目指す資格は無い!!」
「ほう、父上が正義という事をを知らないか? 僕がレッドである事を知らないか? 色無し女め」
「あんたなんて赤じゃない。ヒーロー界の、垢かもね」
喰らえ。
ぺっ!!
「う!?」
天堂茂は、突如眼鏡が濡れ視界を塞がれたことに戸惑った。指で液体を拭き取る。ねばつく。
奴の顔面に痰を吐いてやった。土入りの。
「垢のあなたにはそれがお似合いだよ」
天堂茂は人差し指を立て、小刻みに震わせた。うすら笑いを浮かべて。
「殺してやる」
「殺せば? その前に、私があなたを殺す」
「はぁッ! 笑えるな。小豆沢七海傑作選に入れてやりたいくらいだよ。その状況でどう足掻くと言うのか、拝見してみたいもんだね?」
私は男たちに取り押さえられ、地球に突き付けられている。背中が物凄く痛い。
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