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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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283 :げらっち
2024/07/12(金) 20:44:11

 佐奈、楓、凶華、公一、豚の順でラッパ飲み。最後に私が3口飲んだところで、水筒は空っぽになった。想像以上に減りがすさまじい。
 水も食糧も温存しないと。
「他戦隊を凹って物品奪うのもアリっすよ。きゃはッ」
「でも散り散りになった他戦隊を見つけるのは至難の技ブヒよねえ」
「いや、案外まだ近くにおるかもしれへんよ?」

 すると、ふいに凶華が立ち上がった。木の幹を指さして、無邪気に言った。

「見ーっけ!!」

 私たちは凶華の指さした方を見た。食べられる虫でも見つけただろうか、と思ってよく見るとあらまビックリ。

「よ、よくぞ見つけたな……」

 迷彩色の変身に身を包んだ戦士が、背中を木に向けへばり付いて居た。
 コボレ全員が身構えた。
 セミでもないのに木に擬態していたこの男、イロは黄緑だ。風景に混ざってしまい、共感覚でも見つけることができなかった。何という隠密スキル。それに気付ける凶華もスゴイ。嗅覚のお陰か。

「何あなた? 私たちから食糧を奪おうと思って隠れてたの?」
「ち、違う……ここに潜んでいたらたまたまお前らが来たのだ。オレは強生戦隊サバイブマンのグリーンサバイバー、敵意は無い」
「それならあたしたちと一緒に行こうよ!!」
 楓がそう言うと、グリーンサバイバーはウィスパーボイスで怒鳴った。
「しーっ! 静かにしろ! ここは外の世界だぞ!? 何処に怪人や悪の組織の手先が居るかわからんのだぞ! もう少し緊張感を持って行動しろ!」
 グリーンサバイバーは木にくっ付いたまま微動だにせず、ゴーグルの下の目だけをギョロつかせて周りを見ていた。目元は汗でぐっしょり濡れている。

「グリサバ、見えない敵と戦ってるの?」と楓。
「グ、グリサバだと!? 変な略し方をするな!」
「ところでグリサバ、あなたのお仲間はどこなの?」
「グリサバを流行らせるなよ!!」
 グリサバは必死に周りを警戒している。
「ブルーサバイバーとバイオレットサバイバーもこの近辺に潜伏している! 夜になるのを待ち、闇に紛れて学園を目指す戦法だ! 忍術クラスたるもの、夜に活動するのがセオリーだ! わかるだろう江原公一?」
 グリサバは同じクラスの公一に話を振った。
「まあわかるけど、それは対人の戦法やろ?」
「怪人は夜になると活発化するから、日の出ているうちに安全地帯を見つけておいた方がいいぜ? こんな見つかりやすい場所でかくれんぼとは、あほだなー」と凶華。
「ぐ、ぐぬぬ……」

 怪人、夜になると活発化するのか。
 やはり外の世界を生き抜いてきた凶華は頼りになる。この犬の先導があれば、コボレは無事学園に辿り着けるかもしれない。
「それじゃこんな奴ほっといて先を急ごう? 凶華、嗅覚で学園への道を探してみて?」
「くうん、オッケー」

 その場を離れようとすると。

 突如足元が発火。横に切り裂くように、火柱が立ち上がった。
「危ない!!」
 私は後ろに居た凶華を押し倒した。凶華は佐奈に、佐奈は楓に、楓は公一に、公一は豚にぶつかり、ドミノ倒しのように全員倒れた。炎は私たちの頭上を駆け抜けて行った。

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