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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
 ┗286

286 :げらっち
2024/07/12(金) 20:45:47

「オチコボレーザー・ヘキサ!!!!!!」

 長文の間に変身していた私たちは、ロープレファイブに必殺技を撃ち込んだ。
「んぎょわぁ~!!」
 哀れ戦隊は6色に輝きながら大きく吹き飛び、木の枝に頭を打って落っこちた。
 全員を倒せたかと思いきや、倒せたのは野郎4人のみで、マホレッドのみ咄嗟にバリアを展開しており無事だった。

「ちょ、ちょっとぉ~!! 今のル~ルを聞いてなかったのぉ!? 反則なんですけどお! 先生に言い付けちゃうんだからぁ~!!」

「うるさいな、勝手に言い付ければ?」
 私たちはかまちょ女を放置して去ろうとする。

 すると、バタバタと大きな羽音がした。
 頭上を見ると、さっきの大きなセミが滑空していた。それは宙返りし、瞬く間に昆虫から、女性に変化した。

「ロープレファイブはここで脱落よ!」

 桃山先生は華麗に着地した。
「どしぇー、あかり先生!!」と楓。
「ミンミンゼミのアニパワーよ! 驚いたかな?」
 皆驚いて、口をあんぐりこと開けている。桃山先生はそんな顔、顔、顔を見渡して悦に浸っていたが、私を見て眉根を寄せた。
「あら? 小豆沢さんは驚かなかったの?」
「はい。だってわかっていたから。桃イロが見えていたから。私は人間以外の生物にはイロを感じない。イロが見えたってことは変装、しかもそのケバいピンクは桃山先生ってわかったよ」
 教師は「ケバい」の3文字の所だけ口をひくつかせていたが、最後は満開の梅の木のような笑みになった。

「さすが、いつみが見込んだだけのことはあるわね!!」

「……いつみ先生とどういう関係で?」

 桃山先生は私の愚問は無視し、倒れているロープレファイブのメンバーに歩み寄った。
「戦闘不能ね。学園に強制送還よ」
 桃山先生の合図で、木々をなぎ倒して黄瀬先生の運転するバスが現れた。恐らく天堂茂たちもこのバスにピックアップされたのだろう。

 長井は不服のようで、小柄な教師に詰め寄った。
「華は負けてません! 負けたのはコイツらだけです!!」
 長井はハートのステッキを倒れている男たちに向けた。
「コイツらが使えないから!!」
 だが桃山先生は冷めた目で彼女を見た。

「舐めないで。戦隊はチーム戦なのよ。チームとして負けた時点であなたも負けですし、メンバーを見捨てようとした時点で戦隊失格です」

「……ッ!」
 長井はハートのステッキを地面に叩き付けた。ステッキは折れた。

「ヤレヤレ、飛んだタイムロスだったな。早く行こうぜ」
 凶華は匂いを辿って進み出した。

「残り5戦隊ね。武運を祈るわよ、イラちゃん!」
 桃山先生は楓に銀幕スターのようなウィンクを送った。
「はーい!」と楓。


 蒸し蒸し蒸れている中、私たちは歩いた。
 雲に隠れて太陽の位置は見えないが、恐らくはもう、午後に差し掛かっている。リュックを背負う肩は重だるく、歩き疲れた足の裏はうず痛い。
 水筒は残り2本にまで減っていた。

「凶華くん、本当にこっちであってるブヒ?」
「ああ。こっちからニンゲンの残り香がするぜ」
 先頭を行く凶華は、屈み込んで匂いを嗅いでいた。
「見ろよ、これ」
 犬は草を掻き分けた。私たちはそれを覗き込んだ。

 黒く固められた地面。雑草に侵食されているとはいえ、これはアスファルトだ。

「ていうことは……あっ、察し」
 佐奈が上を見た。
 木だと思っていた物は、ツタに覆われた電柱だった。私はツタを掴んで引き剥がした。「文」のマーク。ここは赤の日以前、通学路だったらしい。
 今は自然に奪還されたものの、真っ直ぐに舗装された道が続いているようなのだ。
 文明の遺物に、胸が騒いだ。
「行ってみよう」

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