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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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295 :げらっち
2024/07/12(金) 20:56:39
私たち5人は変身した。カラフルな戦隊はパーソナリティを捨てた社畜とは違う。
「フォーメーションB!」
「Bって何だっけ?」と楓。
「あれや、あれ!」と公一。
「ああ、あれか!!」
何度も練習しただけあって物覚えの悪い楓でも記憶できていた。5人がピッタリ背中を密着させる。
これはソウサクジャーを相手にした時私と公一が取った戦闘スタイルの強化版だ。全員で背中をカバーし合うことで敵に背後を取られる危険が無い。自分の攻撃が味方に当たる心配も無い。ただ自分の技を連射するだけ、落ちこぼれでもできる。
一斉に、戦闘員たちが襲い掛かった。私たちは時計回りに回転しつつ技を乱射する。
「ぶるぶるブリザード!」
手始めに私は周囲に冷気を充満させる。目くらましに加え、相手の体温を下げ不利にする効果もある。私たちは密着しつつ回転しているから寒くない。
「いけー、ガンガゼちゃん!」
楓はガンガゼとかいう針の長いウニを投げまくった。戦闘員たちは、吹雪いている中突如飛んできたウニを咄嗟にキャッチしてしまい、両手に棘が刺さりまくり悲鳴を上げていた。
戦闘員たちは賞与のために私たちを生きたまま捕らえたいらしく、銃は使わずカッターやブーメランで攻撃してきた。
「コウガ、お前の切れ味を見せたれ!!」
公一は忍び刀のコウガで、敵の飛び道具を次々叩き落とす。
「うちの番です、すりるすぱーく!」
佐奈は近付く戦闘員を片端から痺れさせていく。
「ごっつぁんdeath!」
豚は空気に張り手を噛まし衝撃波で敵を蹴散らす。
「おもしろそー、オイラも混ぜろよ!!」
凶華が復帰、私たちの周りをダッシュで回り始めた。
「何するの凶華?」
「ハンカチ落とし!!」
私の目の前に、紫のハンカチが落とされた。
「それ爆発するハンカチだぜ?」
「ほえっ!?」
私は咄嗟にそれを蹴飛ばした。丸まったハンカチは戦闘員たちの元に飛び、爆発。戦闘員たちは倒れた。
戦闘員たちは粗方気絶させた。
だが。
「あいつはどこ?」
パンドライザーの姿が無い。私たちは回転を徐々に緩め、辺りを見渡した。四方に折り重なって倒れている戦闘員。司令塔はどこにも居ない。
「まさか逃げたブヒ?」
「部下を見捨てて行くとは、最低ですね」
一瞬の出来事だった。
戦闘員たちの山が吹き飛び、その下に隠れていたパンドライザーが姿を見せた。
「雑魚共は捨て駒に過ぎん。敵を狩るなら、将を狩れ」
パンドライザーは真っ直ぐ私に迫った。アイスバリアを展開するも、氷の障壁は簡単に壊され、胸ぐらを掴まれた。
「うぐ!!」
「七海!」
パンドライザーはジェット噴射で飛び上がった。足が地面を離れ上へ上へ上昇する。苦しい。
「1時限目の授業からやり直せ小娘がぁ!!」
パンドライザーは左手で私を鷲掴みにしたまま、右手で銃を私の鼻先に突き付けた。目の前に銃口。
「安心しろ! お前が死ねば他の5人は戦意喪失し降伏するだろう。殺しはしない。捕虜になってもらうだけだ。だからさ、死ぬのはお前だけだよお♡」
最後の言葉は高音になった。きもい。こんな奴に負けてたまるかっ!!
「フロスト!!」
氷の魔法。氷点下に耐えられなくなりパンドライザーは手を離す。私は落ちていく。頭の方が重いので空中で体が回転し、仰向けの状態になる。上空にパンドライザーが見える。奴は落ちゆく私に銃口を向けた。落下中につき回避行動が取れない。
「致命銃」
パン!!!
撃たれた。
弾丸が私の胸に突き刺さった。
私は森の中に落ちた。全身を強打し、バウンドし、草地に倒れる。もし変身していない生身の状態なら転落死していただろう。
何とか起き上がり、木に背を持たせかける。痛みは後からやってきた。胸が焼けるようだ。呻きながら、銃創を見る。白い戦隊スーツが破れ、赤い弾が埋まり、そこから赤が広がっていた。血だ。致命傷だ。弾痕から「死」が私の体に広がっていく。
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