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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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296 :げらっち
2024/07/12(金) 20:56:57

 ドサッ、重い物が落ちた音。パンドライザーがすぐ近くに着地していた。銃を構え、こちらに近寄ってくる。
 私は木に背中を預けて足を伸ばしている。傷口を手で押さえているが、それでも血が止まらない。全身が痺れ、動くことができない。

「少しでも掠れば死に至る致命銃を胸に受けたんだ。すぐに死ねるだろう。あの世で指を咥えて見ていてね♡ お前はぐお!!?」

 パンドライザーが頭を抱え込んだ。
「ファイアジャベリン!!」
 炎の塊が銀のボディにぶつかったからだ。

 あれは、火だ。コボレには無い、赤だ。

「流星群!!」
 ドン! ドン! ドン! ドン! ドン! 5つの光源が立て続けにパンドライザーにアタックした。パンドライザーは大きく吹っ飛ぶ。

 赤・青・黄・緑・桃、あの5つの光りは!!

 Gレンジャーだ!!!!!

 戦隊学園の5人の教師が、いつみ先生が、光り輝きながら強力な攻撃を打ち込み、パンドライザーを後退させている。それは攻めてくる虹。
「僕の生徒に手を出すな。業火絢爛!!」
 炎の十字架に切り裂かれ、パンドライザーは甲高い悲鳴を上げる。
「クァアアアアアア!!!」
 旗色の悪くなったパンドライザーはランドセルブーストで逃走。先生たちはそれを追う。虹の足跡を残して。

「きれい……きれい……」

 まばゆい光り。それすら見えなくなっていく。痛みはまだよかった。痛みは痺れに、痺れは無に代わり、私の体は死んでゆく。
 私は崩れ落ちるように、木から横に倒れ、仰向けになった。目を瞑る。
 最後にあの光りを見れてよかった。もうやり残したことは……
 ある。
 いっぱいある。
 まだコボレンジャーは虹になれていない。1色足りない。
 コボレを戦隊として輝かせたい。折角出会えた友達と別れるなんて嫌だ。楓といっぱい語り合いたい。佐奈や豚や凶華とも。公一には男らしく、ちゃんとキスしてほしい。美味しいものをいっぱい食べたい……

「七海ちゃん!」

 親友の声がした。
 走馬灯の前奏か? 今際の幻聴か? そのどちらでもない。青いイロが、駆けてくる。

「癒しの水!!」

 命を救う魔法が滴下した。
 胸に、1滴。たったそれだけで、私の感覚は生き返った。

 私は上体を起こすと、胸に突き刺さる弾丸を掴んで、引き抜いた。ズキン! 一瞬の痛みが走り、血がほとばしった。でもそれもすぐに収まった。私は変身を解いた。ジャージに穴が開いている。でも肉体の穴は、塞がっていた。
 ハッキリ言って魔法の拙い彼女が、こんな綺麗な回復魔法を使えるとは思わなかった。奇跡のようだった。

 青い戦士が走ってきて、私を抱き締めた。
「よかったあ!!」

 そうだった。魔法は奇跡なんだった。

「ありがとう」
 私は楓を、強く抱き締め返した。

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