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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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297 :げらっち
2024/07/12(金) 20:57:26
「無事か!!」
いつみ先生が戻ってきた。
私は楓と一緒に地面に座っていたが、立ち上がれるほどに気力も回復していた。
「はい、無事です。パンドライザーは?」
「あと一歩のところで逃げられた。殺してやろうと思ったが」
先生は憎しみを込めてそう言った。大人の殺し合いは凄絶だ。
「何なんですか? あの男は」
いつみ先生はちょっと考えていたが、やがて言った。
「戦隊学園のOBだ」
「えッ!?」
銀の変身は戦隊に似ている物ではあったが、あの邪悪な男が正義の学校の卒業生?
「余計なことを言うな!!」
青竹先生が走ってきて、いつみ先生をどやした。悪人を輩出したことなど学園にとっては汚点中の汚点であり、生徒に知られたくはないのだろう。
私は誰彼構わず情報を拡散するような口の軽い人間ではないが。青竹先生もそう思ったか、私を品定めするように見た後、いつみ先生の話を引き継いだ。
「チッ、そこまで聞かれたなら最後まで話してしまおう。奴は2021年度に入学した、戦隊学園の1期生だ」
大先輩だ。つまり奴は39歳!?
「学園でも不良だったんですか!?」と楓。
「いや、その逆さ」
といつみ先生。
「武芸クラスの一歩戦隊センリンジャー、エースのセンシルバー。文武両道、誰よりも真面目に鍛錬に励み、首席を務め、人格も優秀な生徒とされていた」
「それは俺たちが赴任する前の話だがな。俺たちGレンジャーは赤の日の後、2028年に赴任したのだからな」
かく言う青竹先生の目には責任転嫁の影がさしていた。自分の居ない時代の生徒だったと印象付けることで、そんな生徒を育てた学園の教師だという糾弾を避けようとしているみたいだ。
いつみ先生は淡々と話す。
「奴は卒業後、実地に出て、自戦隊のメンバーを皆殺しにした」
楓は息を飲み、両手で口を押さえた。
私も胸糞悪くなり、眉をひそめた。
仲間を、殺す。私が楓や公一や佐奈や豚や凶華を殺す。
到底考えられないことだ。考えたくもない。
「それからの奴は戦隊名を捨て、悪の組織の依頼を受け動くようになる。今回は改造実験法人オスの依頼を受けていたようだが、基本的に奴は1つの組織に属してはいない。フリーのヴィランと言える」
あのふざけた男に、そんな悍ましい過去があったとは。どんなに輝いていても、色落ちし、変色していく場合もあるんだ。
絶対にそうはなりたくないと誓うように、私と楓は手を握り合った。
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