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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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298 :げらっち
2024/07/12(金) 20:57:52
「オスやメカノイアが出向いたのは、生徒の実力を見定める為だろう。赤の世代の校外学習という事で、予想以上に悪の組織のアプローチが熾烈だった」
赤の世代、私たちの学年のことだ。
赤の日のあった年度に生まれた世代であり、最もヒーローにふさわしいとされる世代。
青竹先生は話を続ける。
「サイコマンもテンクウジャーもリュウグウジャーもサバイブマンも、悪の組織に襲われたところを俺たちが助け、リタイアした。残念ながら校外学習はここまでだ。お前たちは勇敢に戦ったが、これ以上は危険だ。俺たちと一緒に帰るぞ」
何やら非常事態らしい。
でも、だからと言って私たちのやるべきことが変わるわけではない。
「お断りします。私たちコボレンジャーは自力で学園に帰ります」
「何だと?」
青竹先生は私に不信の目を向けた。
「1年生の癖に無謀なことを言うな。子供には勇敢と無謀の線引きは難しいかもしれない。だから大人である俺たちがその線を引いてやる。大人しくピックアップされろ」
「いやです」
青竹先生は私を睨み付けてきた。
私は睨み返してやった。
「怪人や悪の組織が居ることは想定内だったはずです。そもそもこれをやらせたのは先生たちでしょう?」
「そうだそうだ!」と楓も賛意。
「お前、生意気なことを!」
「まあ怒るなよ♪」
いつみ先生は青竹先生にデコピンをした。いつみ先生は不敬な私を買ってくれているようで、笑いを堪え切れないという表情だった。
「心強いね七海は。了、生徒たちの学びの機会を奪ってはいけないよ。やらせてやろう」
「だが危険が……!」
いつみ先生は青竹先生に囁く。
「もしもの時は僕がバックアップするさ」
いつみ先生は信頼できる人だ。後ろ盾についてくれるなら有難い。
「きみは他の子たちを学園に送り届けてくれ」
「何でお前が指図するんだ? Gレンジャーで最年少のお前が!!」
いつみ先生は何歳なんだろう? 少年的で、実年齢がわからない。
いつみ先生は細めていた目を不気味に開いて、言った。
「校長なら僕の意見に賛同するだろうなあ♪」
「……チッ」
青竹先生は、その言葉で折れたようだった。
「というわけだ。幸運を祈るよ!」
いつみ先生は私に、何かを投げてよこした。白くて丸まっている物だ。私はそれをキャッチ。
「ナニコレ……」
広げてみるとそれは。
私のおパンツだった。
「ちょ、ちょ、せんせ、どういうことですか!?」
「きみに必要だと思ってね♪」
いつみ先生はクスクス笑い。まさか、怪人に囲まれた時お漏らししていたのを見られていた!? というか、それを見越して寮の私の部屋からこっそり下着を持ってきていたのか!?
私は先生の見た目以上に真っ赤になっていただろう。
「そ、そ、それってセクハラ……」
「じゃ、そういうことで!」
いつみ先生は火柱となって消えた。私はパンツを握り締めて怒鳴った。
「ま、まだ話終わってないんだけど!!」
青竹先生は私を一瞥した後、森の向こうに居るGレンジャーのメンバーの方に走って行った。
私は恥ずかしさの余り地面を見つめたまま耳を掻いていたが、楓が沈黙の障子を破った。
「先生たち、行っちゃったねえ」
「うん……」
改めて学園を目指さねば。
「……あれ?」
いつみ先生の立っていたところに、何か紙切れが落ちていた。
近寄って拾い上げてみると、学園への、地図だった。
「落とし物かな?」
「ワザトだよきっと!」
甘い先生だ。
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