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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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328 :げらっち
2024/07/15(月) 16:29:49
外は夜。
楓さんはなかなかにすばしこく、闇の中に消えて行った。
反対にうちは足が遅い。認めたくはないが足が短いし……きんにくもたいりょくもないもの……
「ぜえ、楓さ、まって、はあ、」
うちは膝に手を突いて呼吸を整える。貧血で倒れそうな上、両足が同時につった。
「くッほお!!」
汚いオホ声を出し地面にうずくまる。
「ダイジョウブヒ?」
この声は!
涙目で顔を上げると、豚、公一くん、凶華くんの3人がうちを見下ろしていた。
「3人でご飯食べに行こうとしてたら、走ってる楓ちゃんとさっちゃんが見えたから……」
「ぶた、くっ、来るのが遅い!」
うちは起き上がって豚の腹を叩いた。
「説明は後、早く楓さんを追って!!」
「了解ブヒ!」
豚はうちを抱擁するように抱っこした。
「にゃ、にゃんにゃん、それやめて、すきになる」
うちは豚の体にしがみ付いた。
「で、楓ちゃんはどっちに行ったブヒ?」
「くぉら豚!! わかってなかったんかい!」
「カエの匂いを辿ればすぐ見つかる!」と凶華くん。
「犬やん」
凶華くんは四つん這いになり、目を瞑り、辺りの匂いを嗅ぎ始めた。
まるで地面に見えない手を滑らせて、遠くに落としたコンタクトを探しているかのように。
「見つけたぞ! こっちだ!!」
凶華くんは走った。
公一くんと、豚に担がれたうちがそれに続き、草むらに入る。
うちは子供みたいに抱き上げられている羞恥心と満足感とまろやかさで夢見がちだったが、そろそろ真面目にやらねば。
「いい加減下ろせ、豚」
飛び降りて、地面に足を着けた。
丸眼鏡を押し上げ、口元を引き締める。
「楓さん、どこ?」
「しっ」
茂みから手が伸びてきてうちの口を覆った。そこには楓さんが居た。
「あれ? みんなも来てくれたんだ」
「楓、足怪我してたんとちゃうんか?」
「あ!!」
公一くんにそう言われ、楓さんはうちの口から手を離し、所在無さそうにもじもじした。
「あ、あははははー。急に治っちゃったみたーい!」
「痛いふりしてたんやな……」
公一くんは白い目で楓さんを見ていた。うちはきゃはッと笑った。
「ミドリちゃんはあそこに居る」
楓さんは木の向こうを指さした。闇と森に溶け込んで、恐竜が佇んでいる。
恐竜はグルグルと喉の奥のほうを鳴らして、誰かと対峙しているようだった。
「落ち着け! オラっぺはお前の生みの親だ!! つまり……ママでちゅよ~~」
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