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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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329 :げらっち
2024/07/15(月) 16:30:03

 恐竜と睨み合っているのは、土臭い声でママを名乗る、大柄な赤い戦士だった。
「あれ誰ブヒ?」
「よく見て」と楓さん。
 その男は、背中の後ろに猟銃を隠し持っていた。
 うちは手が汗ばんでいるのを感じた。

 [キシャアアアアアア!!!!]

 恐竜が男に襲い掛かる。男は猟銃を構え、狙いを定める。
「やめて!!」
 二者の間に楓さんが割り込んだ。
 恐竜は急ブレーキをかけるも間に合わず、楓さんの背中に突っ込み、男は慌てて照準をずらした。乾いた銃声、弾丸は明後日の方向に飛んだ。
「何をする! 危ないだろ、引っ込め!!」
「そっちこそ引っ込め! ミドリちゃんを殺すなんて、許さないから!」
「ミ、ミドリちゃん?」

「ミドリちゃん!」
 楓さんはくるり回れ右し、恐竜の方を向いた。そして腰に手を当て、小さい子供を叱るようなポーズを取った。
「暴れちゃ、めっ! いけないよ! 変な人たちがお前を狙ってる。でもおりこうだって所見せてあげなきゃ! 危険じゃないってわからせてあげよ!」

 恐竜は、[シャア]と吠えた。

「何言ってるんだ! そいつは危険だ! 脱走した際にオラっぺの仲間を傷付けたんだっぺ!!」
 男がそう言ったので、楓さんは今度は回れ左をして向き直る。
「おっさん誰?」
「おっさんじゃない、生物クラスのお前の先輩だ! ジュラシックファイブのレッドザウルス! 恐竜を蘇らせた、その恐竜の生みの親!」

「……へえ」
 楓さんは腕を組んで、じと目でレッドザウルスを見た。
「生みの親なのに、都合が悪くなると殺そうとするとかサイテー」

「ぐぬぬ……」
 赤い戦士は猟銃を構え、恐竜を狙う。楓さんは仁王立ちし、腕を広げて、恐竜の前に立ち塞がる。
「そこをどけ。被害者を増やさないために仕方の無いことだっぺ。自分のしたことに始末を付ける」

 そこに。

 漆黒の夜空をかち割って、楓さんと恐竜の背後に、白い稲光が落ちた。
 黄色い戦士。ポンパドーデスだ。しつこい奴。
「もうほんっと頭にきた! でもねいいこと思いついちゃった。この恐竜、私が使わせてもらう」
 嫌な予感がした。
「電気魔法アップデート!!」
 ポンパドーデスは、電流を浴びせた。恐竜とそれを守る楓さんに。
「きゃあああ!!」
 [シャアアアアア!!]
 うちは草むらから飛び出し、楓さんの手を掴んで、電気の渦から引っ張り出した。うちと楓さんは、そろって草の上に倒れた。
「チビめ邪魔を」とポンパドーデス。
「チビって言うな!」
「まあいいわ。最強の巨大兵器の誕生よ!!」
 [シャアアアアアアアアア……]
 恐竜の咆哮は次第に消えていった。その喉を突き破って、もう1つの頭が飛び出した。機械の頭。恐竜の体に次々と部品が継ぎ足され、体積が増えてゆく。夜空を覆い尽くすほど巨大に。恐竜は恐ろしい龍になった。
 ポンパドーデスは電子となり、巨大ロボに注ぎ込まれるように乗り込んだ。

『完成・双頭龍(ソウトウリュウ)』

「ミドリちゃん!」
「逃げますよ!」
 うちは楓さんの背を押して木の後ろに逃れる。
「ぐああっぺ!!」
 逃げ遅れたレッドザウルスは双頭龍に踏み潰され、土に埋没した。

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