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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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330 :げらっち
2024/07/15(月) 16:30:18
楓さんがミドリちゃんと名付けた恐竜は、巨大な龍に成り果てた。
喉元から機械の顔が突き出て、そこがコクピットになっている。操縦者のポンパドーデスの台詞が拡声されて降り注ぐ。
『コボレンジャー! ここで戦ー1敗退よ!! 茂の仇を討ってあげる』
双頭龍はメタルで覆われた足を持ち上げた。
潰される。
「楓さん何やってるの! 早く走って!」
うちは呆然とする楓さんの手を引っ張って逃げる。重い足が落ちてきて、うちらの近くにあった木が、ペチャンコにプレスされた。
楓さんは叫んだ。
「な、何であたしだけ助けたの!?」
「甘いこと言うな! あの状況じゃ恐竜まで助けるなんて無理だった。アンタを助けるだけで手いっぱいでね。それよりこれから先のことを考えろ」
うちは豚をコールした。
「豚ノ助、巨大化ー!!」
豚は鈍足でうちの方に駆けてくると、ジャージを脱ぎ捨て、半裸の背中をうちに向けた。土俵に向かう関取が、付け人に気合を入れてもらうみたいに。
「ブレイクアップ! 電気魔法アップデート!!」
うちはそこに容赦なく電流を浴びせた。
「ブヒィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!」
ただでさえ大きかった豚の背中が、みるみるうちに膨らんでいく。ビッグになっていく。うち自身は大きくなれなくても、こんなに大きなことができるんだ。ポンパドーデスに目に物見せてやる。
「もっともっと大きくなれぇ~!!!」
うちはいつも以上にたっくさん電流を浴びせた。
「や、や、やり過ぎブヒィ!!」
太くなった豚の声がこだまする。豚はパンパンに膨張していた。
ふん、これくらいで勘弁してやろ。
25メートル超の巨人になった豚。
コクピットも兼ねているメットを被り、裸の上半身を装甲で覆い、鋼鉄のグラブとブーツを着け、化粧廻しを締めた巨人、メカノ助。
うちは満面の笑み。
この巨大メカに搭乗し、うちをチビと呼んだ奴ら全てを踏み潰してやるんだ。うふ、楽しみ。
自分を電子に変えてコクピットに乗り込もうとすると、それを止める者があった。
楓さんがうちの両肩を掴んだ。
「さっちゃんあたしに乗らせて」
「は? うちの楽しみの邪魔すんな!!」
勿論うちは首を縦に振らない。
「アンタに操縦は無理!」
「やってみなきゃわかんないよ。ミドリちゃんがこうなったのはあたしの責任だし……落ちこぼれでもやれるって、見せてやりたいんだよ!!」
楓さんはうちの肩を掴んだまま、必死に頭を下げてきた。
「お願い!!」
……反骨心にまみれているのはこいつも同じか。
「仕方ない、今回だけだよ」
うちがそう言うと、楓さんはキラッキラの顔を上げた。
「サンキュ!!」
「じゃあ変身して」
「ブレイクアップ!」
楓さんはコボレブルーに変身。うちはその手に、USBメモリを押し付けた。
「コクピットに乗り込んだら、このUSBを操縦席の右側にあるポートに刺して下さい。デバイスが起動したら暗証番号を入力して、ソフトを起動して下さい。新装備が起動しますんで」
「は? ユーエツピー? ポート? レバいす?」
「時間が無いからフザけないで。一度しかいいませんよ、いいですか? 暗証番号は066117です」
「06……? 何その数字?」
「余計な質問はするな、早く行け!! 電化移乗!!」
うちは青い戦士を電子に変え、メカノ助のコクピットにワープさせた。
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