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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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342 :げらっち
2024/07/22(月) 18:18:42
第31話 ブルースカイ
あっという間に時は流れ、決勝の前日。
目が冴えて眠れず、私は1人、夜の散歩をしていた。パジャマの上に水色のパーカーを羽織ってクロックス。満天の星空の下、当てもなく歩く。
見覚えのある所に到着した。
グリーングラウンド脇の、紫陽花畑。夏なので花は咲いていないが、ここには、もっと綺麗な紫がある。
ここに来る意思は無かったのだが、星空の道標は、私をコボレのスターの所に道案内してくれたようだ。
凶華が寝泊まりしているテントは明るかった。シルエットが見えている。
私はテントをノックしようとしたが、暖簾に腕押し、入り口の布を突き抜けてしまった。
「よおナナ! お前が来るのは匂いでわかったぜ!」
「やっほー凶華。お邪魔しても良い?」
私は返事を待たずにテントに侵入した。
凶華の家であるテントの中は、小ざっぱりとしていた。ランプに寝袋、制服など必要最低限の物しか無い。
購買のお弁当とティラミスの空の容器が袋に入れて置いてあった。
凶華はというと、紫に白い水玉模様のパジャマを着てあぐらをかいていた。
「どうしたんだよナナ。寝ないのか?」
「眠れなくてね。明日に備えて、早く寝なきゃならないのはわかってるんだけど」
私は凶華の隣に正座。凶華は何気ない話をするように、ショックなことを言った。
「オイラ、明日の決勝に出るかわかんない」
「ええ!?」
何を今更急に。
「あなたはコボレの7人のメンバーのうちの1人だ。居てくれないと困る」
「コボレは6人だろ?」
「まあ正式には。でもいつみ先生を合わせて、7人だ」
凶華は首を横に振った。
「あの教師、信用ならない。偽物臭く嘘臭いぞ。アイツの指示になんか従いたくない」
「まだそんなこと言ってるの?」
「あの教師は人の心を持たずに怪人を殺す」
……確かにそれはそうかもしれない。
「でもそれは、今は関係無い。私と一緒に虹を見ようよ」
「オイラに何の得があるんだよ? お金を貰えるわけでも無ければティラミスを食べられるわけでもない」
凶華は子供っぽく見えて、損得勘定で動くリアリストだ。
だがこの犬にはもう1つの行動ロジックがある。それは主従関係だ。
「報酬は無いよ。これはリーダーとして、飼い主としての命令だ」
私は念じた。フェロモンよ届け!!
凶華はじっと私の顔を見ていたが、ちょっとだけ鼻をひくつかせて、そして言った。
「……そうか、わかった。あの教師に従うんじゃないぞ。ナナに従うんだ」
「勿論それで良いよ」
私は握手しようと手を出したが、犬はポンと手を重ねた。「お手」だ。「おかわり」というと、反対の手を置いた。
「おかげさまで、眠くなってきたよ。じゃあね」
「また明日遊ぼうぜ」
私はテントを出た。
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