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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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344 :げらっち
2024/07/22(月) 18:19:31
隅の席、足を組んで座って居るのは、青竹先生。学年主任のいつみ先生に対し、日影の存在と揶揄される副主任。
彼は鋭い目つきで、いつみ先生に懐疑的な質問をぶつける。
「いつみ、お前生徒に力添えするようだな? 教師としてどうなんだ?」
いつみ先生は朗らかに答えた。
「教師としてではない。コボレンジャーの一員として参加する。大丈夫、直接手を出すようなことはしないさ♪」
青竹先生はチッと舌打ちした。
校長先生は車椅子に座って、ガラスの向こうを眺めていた。
私はその姿を見るたび、心を打たれてしまう。今は萎れてしまった小柄な老人。若い頃は最前線で活躍したヒーローだった。
老害や逆走老人なんかとは違う。年を重ねることでしか生み出せない静かな気迫を背負った、生きる伝説が、そこに居る。若いうちからひねくれた生き方をしている自分が、少々恥ずかしくなり、せめてもの償いにと、自ずと背筋をピンと伸ばした。
「生徒の方を向かせて貰えますか」
校長先生は、脇に控えるヘルパーに小声でそう言った。
「かしこまりました」
ヘルパーは無個性な声でそう答えると、無駄のない動作で屈み込み、キュッとブレーキを解除し、車椅子を方向転換させ、私に向けた。そして先程の巻き戻しのような動きでブレーキをかけ、お腹の辺りで手を組んで下がった。
この洗練された実務的な動きにもいつも感心してしまう。
「小豆沢七海さん。あなたは前に校長室で私と話した。覚えてくれているかね?」
校長先生は私の様な下の者にも「さん」を付けて呼んでくれる。本当に頭が上がらない。
「も、勿論覚えています。校長先生が期待して下さって、とても嬉しかったですので、覚えていたです」
完璧な尊敬語を使おうとした結果、声が上ずって、言葉の使い方を間違えた。普段目上の相手にもため口で話しちゃってるから……
校長先生はしわだらけの顔でクスッと笑った。そして口に手を当て、ひそひそ話をするように言った。
「公平であるべき私がこんなことを言うのも憚られるが、ここだけの話、《ガンバッテ》」
校長先生はお茶目だ。
「は、はぃい」
私は女の子のような声を出した。
いつみ先生は、校長先生とその背後のヘルパーを見据えて、豪語した。
「校長、あなたの試金石のお陰で、金剛石を見つけ磨き上げることができましたよ」
金剛石、それはダイヤモンドのことだ。
私たちがダイヤモンド? それはちと買い被り過ぎではなかろうか……
「コボレンジャーは、優勝します。実力を見て下さい♪」
ここまで大口叩いて負けたら、シャレにならないぞ?
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