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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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348 :げらっち
2024/07/22(月) 18:21:00
戦士たちは敗北し、フィールドから捌けて行った。半部果て菜はピアノに突っ伏し、負けを認めている。
しかしまだコボレンジャーの優勝を阻む者があった。
黒船来航。
ブラックアローンが漆黒のマントをはためかせ、私たちの前に立ち塞がった。
「飛一郎、何の用だい?」
「我輩は飛一郎ではない。ブラックアローンだ」
いつみ先生がそう呼んだ。飛一郎、それが黒の本名か。赤と黒の教師が対峙する。
「黒んぼさんはお呼びじゃないんだけどなあ♪」
「お呼びで無いのはGレッド、貴様の方だ。我輩は最後の対戦者として、コボレンジャーの挑戦を受けようとしているだけだ。コボレホワイト、貴様に用がある」
名指しされた。私はリコーダーを先生に預けると、一歩踏み出し、黒に向けて言った。
「いいよ。あなたがそのつもりなら、私たちは挑む。そして勝つ」
「白い貴様に虹は作らせん」
私の心は泡立った。
白。
この見た目のせいで、私の人生は真っ黒に染まっていた。
学園で仲間と過ごすうちに、過去の傷は少しずつ癒えた。それでも完全に消えることは無い。赤チンを塗っておけばいい、そんな浅い話じゃない。ケロイドの如く、一生跡が残っている。
「ふぅ、ふぅ、」
息が荒くなる。
「落ち着け七海! あいつはお前を動揺させようとしているんや」
私は皆に向かって言う。
「みんな! あいつを倒して本当の優勝をもぎ取ろう!!」
皆は「オー!」と快諾。公一も渋々、「しゃあないな、こうなりゃとことん付き合うで」と了承した。
いつみ先生だけは動かなかった。
「……先生は力になってくれないんですね」
「そりゃ勿論。僕は直接手を出すことはできないからね」
先生は数歩下がり、休めの姿勢を取った。
私は5人の仲間にアイコンタクトを送る。やることは決まっている。
「オチコボレーザー・ヘキサ!!!!!!」
即必殺技。相手はただ1人。勝ち方に拘る必要は無い。
6色の光りが編み合わさった線が、黒に迫る。避ける動きは無い。もらった!
「闇魔術:ブラックホール」
それは光りを喰らう虚無の穴。
色めく筋はブラックアローンにぶつかるなり色を失った。飛ばせど飛ばせど届かない。光りは消えて、闇になる。
「な、なんやねんあれ。効かへんのか!?」
「中止!!」
私の指示で皆攻撃を止める。与ダメは0。ハァ、ハァ、体力の無駄になっただけでない、切り札が何の役にも立たなかったことへの絶望で、士気が下がりマイナス値。
「愚かだな。頼みの綱は最後の最後まで取っておく物だ。馬鹿の1つ覚えは墓穴を掘る。その墓にお前らの棺を埋めてやろう。トロイ」
ブラックアローンは地面から影の馬を呼び出し、跨った。
「実力の差という物を見せてやろう。ハイヨー!!」
バカッ、バカッ、巨大な蹄が地を蹴る音。
ピアノマンはリサーチができていたが、ブラックアローンを相手にするのは想定外だった上、初手を封じられ正直頭が回らない。
「に、逃げて!」
曖昧な指示になってしまった。私たちは散り散りに逃げる。
ブラックアローンは黒いサーベルを装備し、ポロゲームでも興じるように、足元に居る私たちを薙ぎ払う。
「きゃあ!」
こけた佐奈を、豚が覆い被さるように庇う。
「危ないブヒ!!」
無情にも、そこに狙いを付けるブラックアローン。守らなくては。
「鬼さんこっちだ!!」
私はブラックアローンに向けお尻ぺんぺんしてやった。ブラックアローンは狙いを私に変え、迫ってくる。
ダダッ、ダダッと足音。必死に足を回転させ逃げるも、馬力にかなうわけなし。後ろから邪悪な狩人の声。
「貰った」
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