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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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349 :げらっち
2024/07/22(月) 18:21:30
「七海ちゃん!!」
前方、竜に乗った楓が駆けてくる。
[シャアアアア!!!]
恐竜のミドリちゃんだ。
楓の熱意で、生物クラスの飼育スペースを使用してペットにすることを許可されていたのだ。いつの間にかこの会場に呼び出していたらしい。
楓が恐竜の背中に跨り、手綱を引いている。私は横に動いてそれをかわす。振り返って見ると、楓の操る恐竜とブラックアローンの操る黒馬が、ベーゴマのようにぶつかり合っていた。何度も何度も弾き合い拮抗。恐竜は黒馬の首元に噛み付く。だが黒馬はいなないて、波動を飛ばした。ミドリちゃんは横倒しになった。
[シャアっ!]
「ミドリちゃん!!」
黒馬は旋回し、再び襲い掛かってくる。ブラックアローンはサーベルを持ち上げていた。
「スパイク霜柱!!」
私は地面に手を添えて叫んだ。大地から針山のような霜が生え、騎馬の進撃を阻害する。しかし。
ドガッ!!
馬は大きく跳躍した。氷山を飛び越え、高く高く。
「七海、背ぇ貸せや!!」
公一がこっちに走ってくる。私は咄嗟に屈み込み、自分の膝を抱えた。公一は助走を付け私の背を踏ん付けると、大ジャンプ。コウガを振り上げた。
空中で黒いサーベルと忍び刀がぶつかり合う。
だがあの刀は私が怪人と戦った時、損傷させてしまった物だ。
バキ!! コウガは無残にも折られた。刃先が落っこちる。間髪入れず公一も落っこちて、ゴロゴロ転がった。割れた刀を握り締めて。
「公一!!」
「ちぇ、1抜けしやがって」と凶華。
馬は宙を駆ける。ブラックアローンは空中で呪文を唱える。
「黒イ雨」
黒い靄が生まれたと思うと、そこから黒いナイフが降り注ぐ。
「みんな私の傍に!!」
「ブヒ~!」
私は両手を掲げ、呪文を唱える。
「アイスブレラ!」
氷の傘を展開し、殺意の雨から皆を守る。ドス、ドス、ドス、地面に氷に、黒い刃物が突き刺さる。
「くっ!!」
ひびまみれになりながらもなんとか堪える。
馬は私たちの目の前に着地。衝撃波。馬は前足を軸に反転すると、後ろ足を上げ、バリアを蹴って破壊した。氷の破片が飛び、私は転げる。
「楓、バトンタッチ!!」
「ミドリちゃんのカタキだ!!」
楓は水に包まれ体当たり。
「ウォーターボール!!」
私を相手にした練習の時と比べ、確度は増していた。影の馬はいななきを上げて、胴を引き裂かれた。
「やった、訓練の成果!!」
ブラックアローンは地面に放り出されるも、ただでは起きず。
まるで水たまりから鯨が出るように、影から超巨大な馬頭が姿を現した。まるでチェスの黒いナイトだ。
「ゆけ、トロイナイト」
馬は進化の過程をすっ飛ばし、近道で直立二足歩行を会得した。後ろ足のみで立ち上がり、前足にはサーベルとシールドを構える。目測30メートル。
トロイナイトは大きな蹄を持ち上げ、音ゲーでもしているかのようにタップダンス。私たちは踏み潰されないよう逃げ惑う。
「こ、こんなの反則ブヒ~!!」
戦隊の戦いにおいて、大きさは対等であるべきというセオリーがあり、巨大でない相手に巨大戦力をけしかけることはタブーとなる。
だが実戦はフェアな戦いが全てではない。勝ったもんの勝ちだ。
トロイナイトの足の向こうで、ブラックアローンが言う。
「どうしたコボレンジャー。貴様らも同じ土俵に上がればよかろう」
「言われなくともそうするつもりですよ」
佐奈が躍り出た。
「あのデカブツはうちと豚が何とかしますんで、七海さんはブラックアローンを何とかして下さい」
「武運を祈るよ」
「そちらも。電気魔法アップデート!!」
佐奈は豚に電気を浴びせる。豚は機械の鎧をまとい、巨大化していく。
「電化移乗!!」
佐奈はメカノ助に乗り込んだ。
2つの巨大な質量が現れたことにより、ゴールドグラウンドは窮屈になった。
「波離間クラッシュ!!」
攻撃的な佐奈の操縦により、メカノ助は至近距離から高威力の飛び道具をぶっ放す。だがトロイナイトのシールドに防がれる。騎士はスピアーを振るい、豚を土俵際に追い詰める。このフィールドから出ようもんなら、負けだ。
見ていても始まらない。大きな戦いは佐奈と豚に任せると、決めている。
4つの大足の合間、潰されないように動き回りながら、私はブラックアローンに挑む。
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