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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
 ┗350

350 :げらっち
2024/07/22(月) 18:21:45

 巨大な戦いと等身大の戦いが、同時並行で行われる。
「ツララブレード!!」
 私は氷点下の剣にてブラックアローンを急襲。上背のある相手に対し、飛び掛かり、顔面を狙う。赤い目そこが狙い目だ。
 だがブラックアローンは大きさに反し俊敏だ。黒いサーベルで私の剣戟を防御。棍棒を振るうように、私の剣を叩いた。黒光りする重たい刃が、私の白刃を粉々に砕いた。私は地面に叩き付けられる。

「貴様ら程度の実力でお膳立てされ頂点を取った所で、浮かれて転げ落ちるだけだ」
 赤い目が私を見下ろす。
 そこから火の玉が射出された。
「くうっ!!」
 私はバック転してそれを交わすも、バランスを崩し、尻餅を突いてしまった。

「光りの下に出れば、それだけ闇に染まるのも早くなる。白い貴様は晴れ舞台に出ないのが賢明だ」

 アルビノである私は光りの下に出られない。闇がにじり寄る。コボレーザーさえも飲み込んだ闇。
 その闇と私の間に、紫が割り込んだ。

 凶華だ。

「おいお前、オイラのご主人様に何してやがるんだ?」

 紫の戦士は振り向いて私を見た。
「ナナ、お前もお前だぞ。こんな奴に怯えててリーダー務まるのか?」
「う、それはごめん。でも何かあるの? あんな闇さえ照らせる光源が」
 凶華はチッチッ、と指をメトロノームのように振った。
「闇に対し光りで挑むからダメなんだ。目には目を。闇には闇を!」
 凶華は両手をこすり合わせる。
「闇トンボ!!」
 竹トンボのような黒いカッターが一直線に飛び、ブラックアローンの顔面にぶつかった。
 ブラックアローンはよろめいた。初めてダメージらしいダメージが通った。
「す、すごいっ」
 だがそれは単なるマグレ当たりだったのかもしれない。
「阿修羅ハンド」
 ブラックアローンは黒魔術で、背から8本の腕を生やした。その全てにサーベルが握られている。
「貴様らの力など無に等しい!!」
「それはどうかな?」
 凶華は黒いスケボーを生み出した。
「乗れよナナ!」
 促されるまま、私は凶華とスケボーに2人乗り。
「しっかり掴まってろよ!!」
 凶華が地面を蹴り、スケボーは発進。私は犬の華奢な体に懸命に掴まった。
「ひゃあ早っ!!」
 巨人たちの攻防をかわしながら滑走。振り下ろされる足の合間を抜け、背後からブラックアローンに接近。
「今だ、やれよナナ!」
「うん、ツララランス!!」
 3本のツララを撃ち込むも、全てマントに跳ね返された。
「こざかしい……!」
 ブラックアローンは振り返り、剣を振るう。凶華が地面を蹴り、疾走、奴と距離を置く。ブラックアローンが追走する。ドンッ!! そこにトロイナイトの蹄が落ちてきた。勢い余って、ブラックアローンは味方の足に斬り込んでしまった。
「クッ……!」
 一瞬の隙を見逃さず、メカノ助はトロイナイトを背負い投げ。
「一本背負いも相撲の八十二手の決まり手の1つブヒ~っ!!」

 ドオン!!!

 巨大な影が斃れ、そして霧散した。

 凶華は振り向いて私を見た。その目は笑っていた。
「ナナの言う通り決戦に出て良かったぜ。相手は強い方が楽しい遊びができるからな」

 勝てる。そう思った。
 だがしかし。

「待って、ブラックアローンはどこ?」

 黒い霧が晴れた時、ブラックアローンは消えていた。

 ヌッ!

 地面から黒く太い腕が飛び出し、スケボーは真っ二つ。私も凶華も地面に転がった。
 すぐに立ち上がる。
「ど、どこ!?」

「ここだ」

 ブラックアローンは私の影に擬態していた。女のシルエットから大男が飛び出し、私の首を掴んだ。食堂での対峙のように。
「う!!!」
 苦しい。気道を潰される。
「いい加減に諦めろ。貴様らの理想像なぞ現実には通用しない」
「黙れ!!」
 私はブラックアローンの腕を掴むと、跳び上がり、両足で相手の腹を蹴った。奴は私を離した。私は後退し、指示を飛ばす。

「メカノ助!! ブラックアローンを踏み潰して!!」

「きゃはッ、了解!!」
「そ、そんなことしていいんブヒ?」
「いいから七海さんの言う通りやるの!!」
 型破りには型破りで対抗だ。佐奈の操縦でメカノ助は大きな足を上げた。足の影がブラックアローンに覆い被さる。

「デコードブレス」

 ブラックアローンは大きく息を吐いた。黒い吐息は、メカノ助の装甲をいとも簡単に吹き飛ばした。
「ブヒャ~!!」
 豚の巨大化は強制終了させられた。彼は元の大きさに戻り、地面に落っこちた。その上に佐奈も落ちてきて重なるように倒れた。

「言ってわからぬのなら、死ぬがいい」
 ブラックアローンは黒いサーベルを持ち上げる。

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