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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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352 :げらっち
2024/07/22(月) 18:22:13
私が言う「先生」は、いつみ先生のことではない。ブラックアローンのことだ。
ブラックアローンは声のトーンを変えずに言った。
「何の話だ」
「しらばっくれても無駄です。あなたは以前、氷魔法を使った」
5人のコボレンジャーが結成したあの日、《雨天の戦い》。私とブラックアローンが対決した時、奴は確かに「スパイラルスノウ」を繰り出した。
本来なら黒のあいつは、闇魔術以外は使えないはずだ。白に起因する氷魔法や青に起因する水魔法が使えていいはずがない。
「本当は色んな属性の魔法が使えるんでしょう?」
私は畳みかける。
「校外学習で私が致命傷を負った時、楓が癒しの水で恢復させてくれた。でもあれは楓の魔法ではなかった。あの時あなたは近くに居た。影の中に潜んで居た。楓の詠唱に被せて、あなたが癒しの水を使ったんだね? それを確かめたかった」
「だからどうした」とブラックアローン。
それは否定の言葉ではなかった。
「お礼を言いたい。ありがとう」
私は面と向かって、ブラックアローンに、深く頭を下げた。
この感謝は本心だ。あなたが助けてくれなかったら、私はあそこで死んでいた。でも、疑問がある。
「何で私を助けたの?」
「戦いのさなかに何を腑抜けている。貴様らもいつまでもこざかしい!! ダークスパーク!」
「ぎゃあ!!」
「痛あ!!」
拘束具が焼き切られ、公一たち4人は吹き飛んだ。
回答は得られなかった。
ブラックアローンは黒いサーベルを拾い上げた。
「死よりも辛い苦痛という物を教えてやろう」
「お断り!」
私は再び、氷の剣を装備。
「ツララブレード!!」
切り結ぶ。何度も、何度も、刃と刃がぶつかる。私は全力で動き回り、剣を振るった。
「逃げ回るな。コボレホワイト、貴様の負けだ!! 忌漸(きざん)!!」
重い一撃を受け止める。
バキン!!!
私の剣は刃だけでなく、柄までもが真っ二つに折られた。
「終わりだ。炎魔法スバル!」
「でも、私には仲間が居る」
「!!」
ブラックアローンはハッとして背後を見た。
楓、公一、佐奈、豚、凶華、そしていつみ先生の6人が、こちらに狙いを付けていた。
私は剣を振るうことで、メンバーに向けて「指揮」を送っていたのだった。みんなはその内容を汲み取ってくれた。
「Gレッド、貴様が手を貸せば反則だろう!?」
「どうかな? 直接手を出すわけではないからねえ♪」
6人はイロを組み合わせる。
「オチコボレーザー・ヘキサ!!!!!!」
私の白を除いた6色の光りが、まばゆい線となって飛ぶ。
「笑止、我輩にコボレーザーは効かんぞ……?」
だが狙いはブラックアローンではない。
光りは逆さのアーチを描いて飛翔した。まっすぐ上へ。
空の頂点に突き刺さって、曇天をかっ裂いた。雲が開かれ、青空が現れる。その中心に太陽。
陽の光が落ちてくる。質量は無いはずなのに、重い。変身しているとはいえ、アルビノである私には、きつかった。
重い重い真夏の日光がのしかかってくる。立っていられなくなり、地面に突っ伏した。
それは私だけではなかった。
ブラックアローンまでもが、同じく地に伏していた。うつむいて。苦しそうに。
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