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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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369 :げらっち
2024/07/28(日) 11:26:41

「もう! 無茶は良くないよ!」

 彼女は、俺の目の前に、ドンとトレイを置いた。
 皿の上には大盛りの白米、そしてたっぷりのカレールゥが盛られている。
「……こんなに喰えませんよ」
「ええー!? そんなにガタイ良いのにぃ?」
 彼女のエメラルドグリーンの眼が、俺の全身を見回した。
 俺は少し、身震いした。

 身震い?
 その表現は、相応しいか?

「学園名物戦隊カレー! いいから食べてみそ!」
 彼女は自身の席にも大盛りカレーを置くと、俺の向かいの席に座り、両手を合わせ、「いただきます」と言った。
 俺は何も言わずにスプーンを取る。すると彼女に叱責された。
「いただきますくらい言いなさい!」
「……頂きます」

 初めて言ったかな。

 彼女は茶色と白の山にスプーンを突き刺すと、ぐちゃぐちゃと掻き混ぜ、こぼれんばかりの量をすくい上げると、一口で食べた。
 もぐもぐと咀嚼するたび、彼女のえくぼが、生まれたり消えたりした。
 その様子を見ていると、俺の食欲はそそられた。
 喰いっぷりの良い女は、良いもんだな。

 ……俺は何を考えているんだ!?

 慌てて自分のカレーをスプーンにすくい、口に運んだ。
「う!?」
 棘の塊を噛んだように刺激的。天堂茂の火球カーストを口の中に受けたみたいに、味というよりも痛覚、熱さが広がった。
「ごほッ! これ辛口じゃないですか!?」
 俺は急いでグラスの水に口を付けた。
「えー、辛いの苦手なの? 硬派な見た目に反して、口はおこちゃま? かわい!」
 彼女は、口を押さえて、クスッと笑った。

 俺もつられて、少し笑いそうになった。
 いや、俺に笑顔は似合わない。

 俺はフーフーとカレーを冷まし、少しずつ舌に慣らすようにして食べた。
 先程は慣れずに咽てしまったが、辛いカレーも、なかなかうまいかもしれない。
 そういえば腹ペコだ。俺はがっついた。
「おー、良い食べっぷりだねぇ!」


 完食は、ほぼ同時だった。
 彼女はスプーンを置くと、俺をちらっと見た。彼女の言わんとしていることがわかった。俺と彼女は口をそろえて言った。

「ごちそうさま」

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