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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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370 :げらっち
2024/07/28(日) 11:26:58
「フフッ、わかってるじゃーん! ねえキミ、食堂来るの初めてだよね?」
「そうですね。人が大勢居る所は、嫌いだから」
今までは購買で食料を調達し、1人きりで食べていた。
「ふぅ~ん」
彼女は片肘を突いて顎を乗せ、俺をまじまじと見つめた。
「あたしは、好きだな! ワイワイしてる人を見てるだけで、楽しくならない? 独りぼっちじゃないんだって」
彼女は食堂を見渡した。俺もつられて、視線を動かす。
よく見れば、様々な人が居る。
グループで食べている者。カップルで食べている者。教師の姿もある。教師に何か質問している者。喧嘩している者も居るが、そういう輩に限って仲が良さそうだ。それに、独りぼっちで食べている者も居る。でも空間全体で見れば、孤独な者など、居なかった。
「いつまで見てんの! お~い!」
「あ、ああ……」
俺はハッとして、目の前の彼女にピントを戻した。彼女が手をヒラヒラ振っていた。綺麗な手相だと感心するよりも、俺がつい人の営みという物に気を取られてしまったことに驚愕した。俺は人間が嫌いだ。一人で生きていきたいはず、なのに。
「あたし、羽根井光彩! キミ、名前は?」
唐突の名乗り、そして質問。俺は咄嗟に答えてしまった。
「黒木飛一郎」
他人に名乗るのなんて、初めてかもな。
「わお面白い名前だねえ! くろきひいちろう……黒きヒーロー?」
彼女はこめかみに手を当てて何か言っていたが、俺は名乗ってしまった事への驚きで黙り込んでいた。
「ま、いーや。名前なんてね」
じゃあ何故尋ねた。
「あたしは戦士名で呼ぶのがナウいと思ってる。戦隊のたしなみね」
その時、俺の口をついて、言葉が飛び出した。
「羽根井(はねい)先輩は、どんな戦隊、組んでるんですか?」
これに俺は更なるショックを受けた。
質問は相手が連続でしていたので、ここらで俺がし返すべきだったろう。タイミング的には間違いない。だが何故俺がこの女に個人的な質問を? 他人に興味など持つはずの無い、この俺が!!
「先輩っつっても、たった1つ上なだけだしねえ。タメでいいよタメで。あたしの戦隊、教えてあげるよ~。その名も~……」
彼女はわざわざ、溜めて言った。
「晴天戦隊ニジレンジャー!! カラフルな虹を掛ける戦隊っ! あたしはそのリーダーでアイドル! ニジレッドって呼んでちょーよ!」
彼女は身を乗り出してきたので、俺はちょっと引っ込んだ。彼女はそんな俺の顎を、下から人差し指ですくい上げた。
「キミ、ニジレンジャーに入ってよ」
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