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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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388 :げらっち
2024/08/01(木) 14:25:32
私は立ち上がる。
天堂茂は調子付いて、足底にバネでも付いているかのように、ぴょんぴょん飛び跳ねて駆け寄ってきた。
ゴーグルの下の目は、私を完全に見下し切っていた。弱い相手なら容赦は要らない、そういうことである。
「どうした小豆沢? お前の真の実力はその程度か!! コボレンジャーの優勝は教師のお陰だったという事が、証左されたり! 滅せよこの落ちこぼれ!!」
天堂茂が持つ炎の赤鉛筆が、彼の腕と合体。奴はオーバーに振りかぶると、私の顔面のセンターを、容赦無く殴った。
鼻に鉄の塊を突っ込まれたような痛み。熱したフライパンで殴られたような熱さ。変身でガードされていなければ、私の顔は、火傷で二目と見れなくなっていただろう。
仰け反った私に対し、すぐ追撃。奴は私の胸、腹、至る所を燃える腕で殴った。1発、2発、止めにかかるレフリーなどもなくサンドバッグ。3発、4発、いつしかその回数もわからなくなり、ただ転がった。
目の前に公一といつみ先生が居た。
「ちっくしょ、よくも七海をやりおったな!!!」
加勢しようとする公一を、先生が制した。
「よせ、1vs1の勝負だ。どうした七海。手を抜くな」
先生は私の頭を掴んで無理矢理立たせ、ドンと背を押した。
天堂茂は手から蛇のように長細い炎を出した。それは固まり、赤茶色の鞭になった。奴ははしゃぐ子供のように、それを振り回した。
ピシュン!!
私の首に、鞭が巻き付いた。ゴムのマフラーできつく絞められているようで、吐きそう。
「オラよォ!」
奴は鞭をしならせ、私は宙を飛んだ。視界が妙にゆっくりと。対し痛みは一瞬で。私は頭から机に突っ込み、机は真っ二つに割れた。私の頭も同じように割れたかと思うくらいの、脳を穿つ痛み。それでも歯を喰いしばる。
「どうしたんだよ、悲鳴の1つでも出してみろよォォ!!!」
天堂茂は鞭を振るう。私は床を引き回され、壁にぶつけられ、意のままに遊ばれた。
……これでいいんだ。
無様に負けて、退学する。そうすれば未練など残らないだろう。
私は部屋の中央に、仰向けに落っことされた。鞭で首が絞まり、息がしにくい。白い天井が霞んで見える。
「簡単に倒してしまってはつまらないからな。苦しめて苦しめて苦しめて倒す」
天堂茂はライターで火を起こすように、親指で鞭をこすった。鞭を導火線に、炎が私に迫った。
灼熱が喉を潰す。身体が焼かれていく。私は身をよじった。だが天堂茂は、私が苦痛から逃れる最後の術まで奪った。
天堂茂は足を上げ、
ド!!
私の腹を、思い切り踏ん付けた。へそに杭を突き刺されたような、鋭く重い痛み。
「……強情な女だ。いつまでだんまりを決め込んでるのかなあ、小豆沢ななみぃ。叫べ、喚け、助けを乞え!! 落ちこぼれらしい情けない声を聞かせろよ!!!」
奴は私の腹を踏みにじった。ゴーグルの下の目はサダスティックに燃えている。杭で臓器を掻き回されているみたいだ。
だが私は啼かなかった。
こんな痛み、私の心の痛みと比べれば何でもない。むしろ罰として受け入れたいくらいだ。
楓の父親を殺した、罰として。
顔が、四肢が、業火に包まれる。生きたまま焼かれる。
逃れようにも蹂躙され動けない。かといって、変身しているので死にはしない。出口の無い拷問。
「もうよしなさい!! これは傷付けるための戦いでは無い!」
校長先生の声が聞こえた。だが天堂茂は攻撃を止めない。
「小豆沢七海、散々僕を苔にした罰だ。苦しめ苦しめ、あっはははははは!!!!」
狂気。
「なみつなみ!!!」
奇跡。
私は水に包まれた。苦痛は洗い流され、火は消えた。天堂茂は水にすくわれ転倒し、波は壁に当たって飛沫を上げた。全員が水を被った。
「だ、誰だ?」と天堂茂。
「あたしだ!!」
窓ガラスが砕け散り、文字通り誰かが割って入った。
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