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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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393 :げらっち
2024/08/08(木) 12:16:25
第36話 レッドカード
《天堂茂》
殺 さ れ る
評議会終了後、僕は一目散に校舎を抜け出した。
落ちこぼれである小豆沢七海なぞに、コテンパンに負けた。それも父上の目の前で!
何故だ! 何故勝てない!! 僕の方が優れているのに。僕の方が!!!
いや、思い出してもみろ。入学式のあの日から、アイツがスピーチをしたあの時から、僕がアイツに勝てたことなどあったか?
何度蹴落としても、そのたびアイツは強くなって、這い上がってきた。
アイツは落ちこぼれのはずだ。オチコボレンジャーのはずだ。僕のエリートファイブの敵では無いはずだ。
だがエリートファイブはオチコボレンジャーに負けた。僕の仲間だった4人は、顔のパーツを失い、戦士として再起不能になり、退学した。僕にお別れさえ言わずに去った。所詮奴らは僕の父上の名声に群がって来ただけに過ぎん。仲間では無かったという事だ。
僕はアイツに負けた。火球カーストが、僕の渾身の魔法さえもが、アイツに軍配を上げ、僕の方が下であると認定した。魔法面・技術面・肉体面・精神面・団結面全てで負けた。
アイツには仲間が居た。僕には居ない仲間が。
オチコボレンジャーとは何なのか。全然落ちこぼれじゃないじゃないか。
「なんなんだあああ!!!!」
校庭で、最悪な物に出くわした。
コボレンジャーの6人が固まって、話しているのだ。
「一時はどうなるかと思ったけど、楓のお陰で退学せず済んだわ! GJや!」
「七海ちゃんのお陰だよ! ねっ七海ちゃん」
伊良部が小豆沢の背中を叩く。
小豆沢はしょぼくれているようだった。
「私は戦隊証を没収された。それに――」
「まあまあ! 今夜は七海ちゃんの好きなカレーパーティーだよ!!」
「やったブヒ~!!」
馬鹿みたいに喜んでいるコボレ共。それが僕には、眩しく見えた。
「あれ? あそこに居るのは……」
連中の目がこちらに向いた。僕のことを憐れんでいるかのような、
そんな目で見るな。
「見るなあああああ!!!」
僕は自分の特別寮に向け、学園内の森を無我夢中で走った。枝に引っかかり制服が破け、何度も転んで泥まみれになったが、知った事か。
僕もまた失敗作と判断されてしまった。父上は僕を始末するだろう。すぐにでも黒子が送られてくるはずだ。
死にたくない。
生きて、まだ、したいことが……
したいこと?
それは何だ。
父上に認められない、友達も居ない、未来の無い僕が、生きていて、良い事があるのか。
生きていても、死んでいても、同じでは無いのか――
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