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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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396 :げらっち
2024/08/08(木) 12:17:25

「げ! きも!!」と楓。
「まさかアイツも巨大化を!?」と佐奈。

 だがそれはメカノ助のような巨大化ではなく、ロボだった。
 校舎の向こうから、全貌が現れた。
 全身真っ赤で、とにかくデカいロボ。両肩のみならず胸と背中からも、計4本の腕が生えている。手先は大砲になっており、長さが不ぞろいだ。資材不足か、胴は鉄骨やらパイプやらがむき出しになっており、歪な形。足は無く、キャタピラで走行している。突貫工事の産物か、ギシギシと軋む金属音、今にも崩れそうだ。
 無機質な体の上に、巨大な天堂茂の生首が、据え付け悪く乗っかっている。アンバランスさが不気味だ。

『コボレンジャー共!! いつもいつもいつもよくもよくも僕を愚弄してくれたものだ!! 見よこの赤春機エリートキングを!! エリートは僕だ、勝者は僕だ、勝ち残るのは僕だと、今知らしめてやる!!!』

 4本の腕は容赦なく爆撃を始めた。グラウンドから火の手が上がる。私たちはとにかく校舎に逃げた。
 戦隊学園の校舎はちょっとやそっとの攻撃では壊れないほど頑丈だ。
「アイツ、しつこすぎ!! どうするの!?」
「そりゃ迎え撃つしかないっしょ。うちのメカノ助なら、あんなガラクタすぐ屠れる」
 佐奈は豚の尻をひっぱたいた。
「ブヒィ! 勿論やってやりますよ!!」
「OK。そんならリーダーの指示待ちや」
 公一が私を見た。

 私は後ずさった。

「できない」

「どうした随分弱気だな、いつものナナじゃないぜ。リーダーの癖に逃げるのか?」と凶華。

「私はリーダーなんかじゃないよ」

 私は皆を見回した。
 楓も公一も佐奈も豚も凶華も、私を信頼し、私の指示を待ってくれているのがわかる。穢れも無く、私にも穢れが無いと、信じて疑わないような、
 そんな目で見ないで。

「見ないで!!! だめ、私戦えない」

 私の顔は引きつっていただろう。皆キョトンとした。
「仕方あらへん。七海は今戦隊証を没収されてるんやもん。戦えないのも当然や」
「それもそうだね!!」
「ナナの戦隊証を取るとはひでぇ校長だな!」
 皆早合点してくれたようだ。
「じゃあサブリのあたしが臨時リーダーね!!」
「何言ってんの楓さん。コボレのブレーンであり巨大化戦指揮官のうちが……」


 ポン、豚が、私の肩に大きな手を置いた。
「それじゃ七海ちゃんは休んでて。僕たちがすぐ片付けてくるブヒ!!」

「うん……」

「あとで、カレーパーティーだからね!」
 楓が私にグッと顔を近付けた。ブラックタイガーアイの様なくりくりした目で見てくる。

「約束だよ!!」

 楓は小指を差し出してきた。
 約束、か。果たせるかわからぬ約束などしていいものか。
 ためらっていると、楓は無理矢理私の小指に自身の小指を絡ましてきた。ブンブンと大袈裟に振る。

「指切りげんまん、嘘吐いたらハリセンボンのーます! 指切った!!」

 そういえば以前私は、楓に嘘は吐かない、隠し事はしないと神様に誓った。
 約束を破ったら、神様に罰せられるだろうか。神様など居るのだろうか。

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