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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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398 :げらっち
2024/08/08(木) 12:18:02

《天堂茂》


 夜の学園では巨大勢力が激突していた。
 僕はエリートキングの頭部の操縦席に乗っている。このエリートキング、美しい僕の顔を模して造られているのだ。

『やめろ! 無用な破壊行為はよせ!!』
 青と白のネオンが特徴的な巨大ロボが、構えの姿勢を取っていた。
 腹部に大きなモニターが付いており、そこに教師・青竹了の顔が映った。彼の声が、拡声されて響いた。

『天堂茂!! 評議会が不本意な結果になったからといって、馬鹿なことはよせ!』

「ほほーう、これはこれは無能な下っ端教師さん。僕がそんなちっぽけな理由で暴れいるとでも?」


 これは単なる餓鬼の癇癪ではない。
 僕を認めない父上、僕を愚弄するコボレンジャー、もう沢山なんだ。


 ロボは赤と青の斧を構え、こちらに向かってきた。
『気絶して貰おう。リトマスアックス!!』
 歯牙にもかけない。
 何しろこのエリートキングの方が、余程巨大だからな。お前など、ちっぽけなゴミだ!!
「赤撃砲(あかげきほう)!!」
 僕の操作により、エリートキングは4本の腕から砲撃し、目の前のロボを轟沈させる。
 直後、黄色いプロペラの付いたロボと、緑の二刀流のロボ、ピンクの猫型ロボが飛び上がる。
「邪魔だ凡人共!! 赤撃砲!!!」
 連続の砲撃、圧倒的火力で制す。4体のロボはバラバラに吹き飛んだ。


「ひゃはは、ははは、あっはははははは!!!! これが僕の力だ!!」


 赤く塗られた操縦席、左方に取り付けられたモニターに、動力室の様子が映った。
 あの女が、磔にされたキリストのように、機械に接続されている。女の体からはコードが伸びており、それはロボの全身に通じている。
 腕が使えなくなった女は、自身が最後のパーツとなり、ロボを完成させたのだ。
「茂、もう少し加減して……私の力も限界だ……」 
「どうしたポンパドーデス!! お前の存在価値など、もう此処にしか無いだろう?」
 女は屈辱的な顔をした。
「茂、何であーたまで、そんな呼び方を……」

「黙れ僕に楯突くな。お前など、僕にとってはただの飾り物に過ぎん! ロボを作ることができなくなればお前の価値など終わりだ。一生ロボの一部として、僕のために働け!!!」

 僕はアクセルを思いきり踏み付ける。

「ぐうう……!!」
 女は呻き声を上げた。動力を供給しているのだ。

「コボレ共何処に居る、轢き潰してやるぞ!!!」

 突然目の前のスクリーンに、巨大な力士の顔が映った。フルフェイスメットの下から睨み付けられている、そんな気がした。超巨大な手で、顔を、思い切り張られた。
 パアン!!
「ぶぐう!」
 僕は操縦席から転げ落ち、張られた右頬を押さえた。
 いや、張られたのはエリートキングの頭部であり僕自身ではない。落ち着け、ただ奇襲を受けたに過ぎない。
 僕は操縦席に這い上がり、スクリーンから下界を見た。メカノ助とかいう、豚を巨大化して作った暑苦しいロボが、ドンッと着地するところだった。アイツは上背のあるエリートキングに対し、ジャンプして張り手を噛ましたのだった。

「僕のエリートフェイスに傷を付けやがったのか、落ちこぼれぇえええ!!!」

 僕は大砲のボタンを連打する。
 豚は爆撃を受け大きく後退し、校舎に突っ込んだ。頑丈な校舎も流石に耐えきれず、損壊、その棟は停電した。学園のあちこちからキャーとかわーとか聞こえる。

 良い気分だ。やっと思い知らせることができた。
 僕はエリートだと!!

「僕の受けた屈辱を、1000倍にして返してやるぜ!!!」

 更に火力。砲撃。爆発。火力砲撃爆発。火力砲撃爆発。
 豚は校舎に突っ込み身動きできないまま、集中砲火を受け炎に飲まれる。電力も無く、星も瞬かない、真っ暗な中で、炎だけが存在証明だ。

 落ちこぼれ共は死んだだろうか。
 小豆沢七海は、伊良部楓は、江原公一は、鰻佐奈は、大口序ノ助は、星十字凶華は、
 死んだだろうか?

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