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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
 ┗405

405 :げらっち
2024/08/08(木) 12:22:27

 楓と初めて会った時の夢を見た。

 喪失感と共に目を覚ます。

「……?」

 意識は起きた。
 目が開かない。
 でも部屋の中が暗いのはわかる。朝が来たわけではないようだ。
 金縛りにあったように体が動かない。
 まぶたを開けようとしても、ねっとりと眠気が絡みついて離れない。
 公一とつながっている手に意識を集中させてみる。ちょっとだけ体の操作法を思い出す。
 何とか目をこじ開けた。

 目の前に楓の顔があった。

「!」

 その名前を呼ぼうとするも、口が開かない。
 楓はいつもの茶色いカチューシャを付けて、じとっと私を見ていた。

「全部聞こえてたから」

 聞こえてた?

「公一くんのGフォンとあたしのGフォンが通話状態になってたの。昨夜七海ちゃんと公一くんが話したことは、全部聞こえてたから」

 な!!
 公一の裏切り者、最初からこのつもりで私から話を聞き出したな? 忍者のやりそうなことだ……!

 楓は鼻を近付けた。
 私と彼女の鼻先が触れ合い、ひんやりとした。
 楓の目が間近に見える。私は身動きも取れぬまま目を見開き、楓の言葉を耳にする。

「パパのことは、あたしが許す許さないの問題じゃないと思う。あたしと七海ちゃんが2人で、いや、コボレが全員で抱えていくべきものだよね。こういう事はチームで共有しなくちゃいけないよ。あたしが許せないのは、七海ちゃんがそれを1人で背負いこんで、嘘吐いて隠したこと。隠せばあたしが幸せになるとでも思ったの? 本当は友達で居たいのに、絶交でいいよ、なんて言わないでよ。それだから友達無くすんだよ、インキャの思考で、きもいなって思う」

 言葉の1つ1つが、針のように喉に突き刺さる。
 私は何も言い返せない。
「……言い過ぎた」
 楓ははあと息を吐いた。熱い息がもろに掛かった。

「やっぱりあたし、七海ちゃんともう一度友達になりたい。朝になったら謝りに来て。そしたら許すから」

 楓はふっと消えた。
「……ふがっ!」
 直後金縛りが解け、身動きが取れるようになった。
 私は跳ね起きた。
 隣では公一が私の手を握ったまま、ぐぅぐぅと寝息を立てて寝ていた。

 既に楓の気配は無い。

 今の出来事が夢なのか現実なのか、わからなかった。

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