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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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408 :げらっち
2024/08/08(木) 12:24:33
「兎にも亀にも角煮にも、七海ちゃんが無事で良かったブヒ!!!」
それを言うなら兎にも角にも、だが……
「うん。でも。楓が無事じゃない」
「え?」と、3人。
あたしは無事だよ! ってひょっこり出てきて欲しい。
でも残酷なことに、彼女の青はどこにも無い。
折角親友になれたのに、喧嘩別れなんて嫌だ。嫌すぎる。そんなことになったら私は一生後悔するし、もう二度と暗闇から出られない。虹の残像さえも、悪しき虚像に変わってしまう!
「とにかく先生たちを探そうや」
校庭では緊急集会が開かれていた。朝礼用の台の上に先生たちが所狭しと乗り、その周りに生徒が押し寄せている。
「先生、何なんですかあれは!!!」
「また赤坂先生のわけわからないイベントですか!!」
「静まれ、静まれ!!」
緑谷先生が大声で叫んでいるのが見える。
「と、とにかく全員ここから避難しろ!! 落ち着き慌てず行動しろ!!」
当の教師が慌てているのに、落ち着き慌てず行動できるわけがない。
私たち4人は、余りの人の多さに先生たちに近付くことさえできなかった。
先生たちは大声で何か話している。
「ショットマンが戦闘不能にさせられた!」と黄瀬先生。
「これから全生徒、学園外へ避難します! しっかりと先生たちに従い、迅速に行動すること!」と桃山先生。
「筋二郎! 校長先生との連絡はまだ取れないのか!!」と青竹先生。
「まだだ! 校長室に行って指示を仰ぎたい所だが、ここは生徒の避難を優先させる!!」
避難などできるのだろうか。
あの未知の恐怖は、私たちを決して逃がさない気がする。
それだけではない、不可解だ。
生徒たちに指示を出しているのはGレンジャーの4人だけだ。
「いつみ先生はどこ?」
ぴたり、と、静寂が襲った。
混乱し絶叫していた生徒たちが一斉に鎮まった。沈黙は悲鳴より怖かった。
先生も生徒も、空を見上げていた。
私も顔を上げた。
キラキラと光りながら、円盤から何かが降りてくる。
あれは。あの赤は。あの光りは。
「いつみ先生」
私がそう呟いたのを皮切りに、群衆は騒ぎ出す。
「赤坂先生!! 赤坂先生!!」
「助けてええ!!」
いつみ先生は煌煌と輝きながら、私たちの上空で静止した。中央校舎と同じくらいの高さで。
「いつみぃ。これはどういうことだ?」と緑谷先生。
「これより、戦隊学園は僕の指揮下に置かれる」
いつみ先生はシュッと指揮棒を上げ、鼻の前にかざした。
青竹先生が怒鳴る。
「寝ぼけるな。いつみ、降りて来い! 全部お前のおふざけなのか!?」
「寝ぼけているのはきみたちさ。目を覚まさせてやろう♪」
いつみ先生は指揮を始めた。
「せ、生徒は全員退避しろ!! Gレンジャー、変身だ!!」
群衆は叫び、散り散りに逃げ出した。
「ブレイクアップ!!」
青竹・黄瀬・緑谷・桃山先生、4人の教師が一斉に変身する。
「Gブルー!」
「Gイエロー!」
「Gグリーン!」
「Gピンク!」
「学園戦隊Gレンジャー!!!!」
眩しい程に、それぞれのカラーに輝いている。
でも、足りない。赤が足りない。戦隊のエースが足りない。
だからくすんで見える。上空の赤一色の方が、余程輝いて見える!
「Gミックス!!!!」
Gレンジャーは4色の魔法を混ぜ上空に飛ばした。
「愚かだな。僕という恒星が居なければ、Gレンジャーなどただの惑星。輝けないと気付くがいい」
いつみ先生は指揮棒を真下に向けた。
私は危機を感じ、叫んだ。
「佐奈豚公一! 伏せて!!」
「リトルマン」
指揮棒の先から火炎が噴き出た。それはGレンジャーの必殺技をいとも容易く引き裂いて、その0.1秒後には校庭に直撃した。
「あっはははははは!!!」
いつみ先生は指揮棒を地をなぞるように動かし、一帯を焼き尽くした。私は目を瞑り、仲間と身を寄せ合って、祈ることしかできなかった。
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