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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
 ┗410

410 :げらっち
2024/08/08(木) 12:25:18

「1撃サンダー!!」
 閃光と雷鳴、私に雷が落ちた。危うい所でかわしたが生身の私が受けたら致命傷に成り得る攻撃だ。空間が痺れ全身が震えた。技を発動したのは黄色い戦士。
「さ、さな、なにす、」
「がぶりブレイク!!」
 次はピンクの巨体の戦士。豚が正面から突っ込んできて、私の体を拘束した。
「うぐう、重!!」
 100キロ超えの重量に真っ向から掴まれ押される。地面を踏みしめ堪えるも、相手の半分程度の体重の私に相撲が取れるわけが無く、砂埃が上がり、全身の骨が反って折れそうだ。
「やめて豚ノ助!!」
 そんな私たちに向け黄色い戦士は大技をチャージしていた。彼女に電気が集まっていく。狙いは私と豚。丸ごと破壊する気だ!!
「やめて佐奈!! 私も豚も仲間だよ!! 豚離して、あなたもやられちゃうよ!」
 攻撃の手は緩まない。豚は自分ごとやられることをいとわないようだ。

 どうしたんだ。仲間意識はどこに行ってしまったんだ!!

「雷ドラゴン!!」

 佐奈が電気の竜を解き放った。
「ごめん豚!!」
 私は彼の腕に思いきり噛み付いた。流石にダメージが通ったようで、豚は私を離す。その一瞬の隙に豚の両足の間に滑り込み、くぐり抜けるように逃走。電気の竜は豚にぶつかり爆発した。
 豚は悲鳴を上げることもなく、その上半身は爆炎に飲まれた。
「ごめん……」

 変身した学園中の戦士が、校庭の真ん中で争う私たちに向けて、武器を振り回し、或いは魔法を振りかざし、雪崩のように押し寄せていた。
 戦隊証が彼らを操っているのだ。戦隊証は入学時に赤坂いつみから与えられた物。

「赤坂いつみは!?」

 あの元凶は何処だ。
 空を仰ぐ。赤がキラキラと光りながら円盤に吸い込まれて行った。
「くっそ……!」
 私はダンと地面を蹴る。
 孤立無援、まずはここを切り抜けなくては。どうすればいい。

 ちら、振り向いた。
 緑の戦士が苦無を装備し、刃をこちらに向けていた。
 彼までもが。

「公一、お願い目を覚まして!!」

 公一は構えの姿勢を取ったまま、一言も発さない。

「私たちコボレンジャーの仲間だよ!! 友達だよ!! あなたのこと、好きなんだ!」

 私は両腕を開いて、友好の姿勢を取った。
 だがそんなものが通じるはずが無かった。絆の何と脆い事か。
 私は右頬に熱を感じ尻餅を突いた。砂に赤い斑点ができた。公一は私に斬り掛かったのだ。右頬を触ると裂けていて、血管が空気にさらされる鋭い痛みと、血の溢れる無情さと、公一との関係でさえ術に打ち勝てなかった悲しさで、どうしようもなくなった。

 公一は血塗られた苦無を持って、数秒硬直していた。呆然としているように見えた。
 だがすぐに攻撃を再開し、再び私に斬り掛かった。変身もできない。魔法も使えない。そもそも変身できたとして、仲間に攻撃できない。

 逃げなくちゃ。
 私はがむしゃらに走った。襲い来る生徒の波を掻き分けて、殴られ蹴られ掴み掛かられ切られ焼かれながら、とにかく逃げた。

 森に逃げ込む。

 マリオネットのように操られた戦士たちが、うろうろ徘徊し、私を探している。
 私は息を潜めつつミコレンジャーの神社に走った。
 こんな状況だが金閣寺躁子ならどうだろう。あの女は魔法クラスでトップの成績を収める、赤坂いつみの補佐役だ。もしかしたら戦隊証の洗脳に対する呪詛返しも心得ているかもしれない。

 神社には、金角と銀角の如く、ミコゴールドとミコシルバーが居た。

「金閣寺先輩、助けて!」

 だがそう甘くは無かった。2人も例外では無く、無言で容赦の無い攻撃を仕掛けてきた。私は森を逃げながら叫ぶ。
「目を覚まして! 露骨に肋骨が折れた! ほら面白いでしょ!?」
 いつもなら金閣寺をよじらせることができる寒ギャグも役には立たず、金の戦士はお守りを振り回し攻撃してきた。

 学園の全員が敵か。
 絶望で目の前が暗くなり、そのまま崖から落ちた。

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