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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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412 :げらっち
2024/08/08(木) 12:25:54
「楓に酷いこと言って別れちゃった。もう会えなかったらどうしよう。お話しできなかったらどうしよう。公一も、佐奈も、豚も、私のことなんか忘れて、敵とみなすようになっちゃった。どうしよう。どうしよう」
喪失感。
ネガティブな気持ちを1つ吐くごとに、一粒、一粒、涙が垂れた。私は正座するみたいにへたり込んで、うなだれて、ポタポタ泣いた。服に水玉の染みができていく。
「また6人そろって、くだらない話、しようよ。落ちこぼれのまんまでいい。ずっと一緒に居ようよ。もう虹なんて要らない。虹なんて見なくていい! 友達と一緒に居れたらそれでいいよ!!」
私は幼子のように、ひくっひくっと泣き出してしまった。
「うええええん……」
止めたくても、涙が止まらない。服の裾を掴んで堪えようとするも、顔が引きつって、目頭が熱くなって、息が苦しくなって、途方も無い。
肩に手が置かれた。
顔を上げると、凶華がちょっと笑って、紫のタオルを差し出していた。
「顔拭けよ」
「ひくっ、」
私はお礼を言おうとするも過呼吸なりかけで言葉が出ず、ただタオルで顔を拭いた。
「ったく、しょうがないリーダーだぜ」
私ははにかもうとしたが、顔面がつって、余計に怖い顔になっただろう。
凶華は鼻をぴくつかせた。
「腐臭。来たなあのゾンビらが」
犬はテントから出て行った。私もそれを追う。
いつの間にやら、テントの周り10メートル程を囲うように、多数の戦士たちが詰め寄せていた。声が無いのが余計に怖い。
「ここはオイラに任せろよ、ナナ」
「ひくっ?」
凶華は犬歯を見せてニヤリ笑った。紫が増強し、どんどん濃く、黒に近くなっていく。闇のイロが凶華を包んだ。
「コボレスター!!」
凶華は戦隊証を介さず、紫の戦士に変身した。
魔術だ。
「ひくっ、すごい!」
戦士たちの一部が、旬では無い紫陽花畑に踏み込んだ。
「花を踏むんじゃねえ!!」
凶華は大ジャンプすると、空中に現れた紫の鉄棒に掴まった。
「闇魔術:地獄回り」
大回転。紫紺の衝撃波が飛び戦士たちは吹っ飛ぶ。
「闇魔術:しねしねこうせ――」
「ダメだ凶華、相手は学園の戦士だ、殺さないで!」
「そんなこと言ってる暇じゃねーだろ!」
「リーダーの命令だよ!」
「ちっ、わかったよぉ!!」
紫の戦士は私の傍に降り立って、私の手を取った。
「じゃあナナの魔法を貸せ!!」
「高利(氷)だよ」
私は氷の魔法を凶華の中におすそわけ。
多数の戦士たちが私たちに襲い掛かる。
「氷魔術:氷オニ」
凶華の手が阿修羅のように増えた。というのは残像で、実際は高速で手が動いてるのだった。
凶華は次々に戦士たちをタッチしていき、触れた端から凍らせていった。氷り鬼だ。友達の居なかった私はした事無い遊びだが……
「ふんっ、物足りねーな! もっと遊ぼうぜ? お次はイロオニだ!」
凶華は飛ばし気味だが、戦士たちは360度を包囲している。テントが破壊され、私の背後に戦士たちが迫っていた。
悲しいことに逃げる以外手が無い。戦隊証が無いとことごとく無力だ。私は凶華の背中に引っ付いた。
「ったく世話の焼けるリーダーだな」
凶華の魔術により、突如私の立っていた地面がエレベーターに乗っているかのように急上昇した。隆起しているのだ。私の立っている直径1メートルくらいの草地が、10メートルほどの高さになった。怖くて四つん這いになる。
「なにこれ凶華!!」
「高オニだぜ。そこに居る間は誰も手出しできないから!」
それよりも落ちそうで怖いんだが。
「よっしゃ、思う存分遊ぶか!!! 闇魔術:レクリエーション☆」
凶華がそう唱えると、集結していた百名近い戦士たちは全員、赤と白の旗を持たされた。
「赤上げて!」
凶華の指示に、戦士たちは従う。
「赤下げないで白上げる!」
何人かの戦士は間違えて赤を下げたりしてしまい、落伍者は紫色のタライに打たれ卒倒した。ふざけてるようで強力な技だ。
「お次はもっと難しいぞ☆ 赤下げて……」
さあどうなるか?
「白下げつつ赤上げつつ青上げると見せかけ緑下げないで黒投げて赤と青を振り回して黄色とピンクを上げ下げ上げ下げ黒上げる!!!」
そんな指示に誰も従えるわけがなく全員がアウト判定になり全員にタライが落ち、シンバルを何倍にもしたような音が響き、全員が卒倒した。
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