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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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419 :げらっち
2024/08/10(土) 12:33:18
《???????》
生命がまだ思春期を迎える前から、この世界に存在した石がありました。
白、紫、ピンク、緑、黄、青、そして赤。7色のニジストーン。
7つの石から光りが伸びて、空に大きな、世界全部を見渡せるほど大きな虹を作っていました。
虹は世界を優しく見守り、光りをふらせていました。
やがて生命の中に、毛色の違う存在が現れました。
人類です。
虹はずっとずっと、人類の営みを見てきました。生まれ、育ち、栄え、滅び、また生まれるのを見てきました。
時が経つにつれ、虹の7つのイロに、自我が芽生えました。虹はいつも人類のことを見ていたのですから、自我というものを学ばないわけがありません。
次第に自我は感情に、感情は人格になりました。虹の7つのイロは、それぞれ異なる人格を持つようになりました。
悠久の時を持て余し、高い空から人類を見下ろしながら、ああだこうだと文句を言ったり、人類かくあるべきと議論するようになりました。
「戦争ばかりして、愚かだな。どれ、1つ私の力で、平和にさせてやろうじゃないか」
「やめろ青。人類は確かに愚かだが、淘汰も進歩のプロセスだ。争い合って弱い者は滅び、強い者、戦いは愚かだと学んだ者だけが先に進めるんだ。それに、我々には逐一手を出す権限は無いだろう」
「何故だ。我らの力をもってすれば、人類も世界も、よりよく均整の取れたものにできるのだぞ」
「過干渉してはいけません。世界の私物化につながります。私たちは、世界を見守ることしかできないのです」
とまあ、こんな感じです。
――ああもうつまんない! この喋り方、肩が凝る! 肩なんて無いけど。
もっと人間ふうに喋らさせてもらうね。ハロー、私は虹のイロの1つ、赤。
毎日毎日、退屈な話し合いばかり。お兄さまもお姉さまも長いこと人間を見てきて、飽き飽きしてるんだわ。でも生まれたての私は違うもん。自我を持って100年そこらしか経ってないフレッシュな私は、高みの見物なんかするより、人間みたいに自由に生きてみたい!! って思ってる。
私は今日も世界を見下ろして、溜息を連射する。
「人間っていいな。虹なんかより、よっぽどいろんな色があって」
雲の下、人間たちは今日も忙しそうに動き回っている。大変そうだけど、その胸には自由という勲章が輝いている。空の上から一歩も動けない私たちとは大違い。
私たちは眠らない。24時間365日――これは人間の定めた区切りに過ぎないけど――世界を見守らなくちゃならないから、眠らないし夢も見ない。それでも私は、人間になれたらいいなって、いつも夢見ていた。
私たちイロは、自我を持った順に兄弟となっていた。私はその末っ子。
私がぼんやり人間を見ていると、お兄さまやお姉さまは今日も私を頭ごなしにけなしてくるのだった。
「おい赤! お前も少しは私たちの議論に混ざったらどうなんだい? いつまでも赤ちゃんなんだから!」
「ほっとけよ。赤は人間がうらやましくてうらやましくて仕方ないんだよ」
「ふん、人間などどこが良いのか。虫を見下す癖に、自分らが高い所から見下されているとは思いもしない、傲慢な働き蟻」
「人間なんか無力だよ。藻掻いて足掻いてやっと小さなものを手に入れるんだ。俺たちが簡単に手にできるような小さなものを、な」
誰が何と言おうと、私は人間がうらやましい。
苦労して手に入れる喜びを、自由に生きる喜びを、知りたい。
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