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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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423 :げらっち
2024/08/10(土) 12:41:04
最早そこに居るのは憧れたいつみ先生でもなければ侮蔑の対象赤坂いつみですらない、恐ろしい未知の存在だった。
レプリエルは青に近寄った。
「楓に触るな!!」
レプリエルは青を鷲掴んだ。イロという概念でしか無かった青は、実体化し固形化した。
レプリエルは、卵くらいの、青い楕円の石を握っていた。澄んでいるがどこまでも深い、青いニジストーン。
「きみも白いニジストーンに成れよ。痛い汚い辛い人間の身体とはおさらばさ」
私は改めて全身を見る。泥と血が固まって、見るに堪えないほどに汚れており、細胞1つ1つが悲鳴を上げている。
「きみも、楓も、僕も、コボレンジャーの仲間たちも。仲良く7つのニジストーンになって、この世界に新たな虹を掛ける。世界を再構築する。僕たちは世界を見守る、人間より高次の存在となる。そう悪い話じゃないだろう」
私は握りこぶしを作り、
自分の頬を殴った。
脳が痺れ、口の中が血の味で一杯になった。
「痛い」
まだ生きてる。
レプリエルの、甘言とも取れる言葉には、魅力が1つも無かった。
「言ったでしょ。どんなに痛くても辛くても理不尽な世界でも、私はこのままの姿で生きるよ。悪魔の誘いには、乗らない!」
「悪魔じゃなくて天使なんだけどね♪」
レプリエルは青いニジストーンを掲げ、私に見せしめた。
「でもきみの大好きな楓ちゃんは、自らこの姿になったんだけどね♪」
そんな、
「嘘だ!!!」
《楓》
「あなたと友達になれて良かった」
あたしは手に顔をうずめていた。
「さよなら」
別れの言葉。足音も気配も消えた。
顔を上げると、七海ちゃんは居なくなっていた。部屋にはあたし1人だけが残された。
「何だよ!!」
あたしは素足でベッドの枠を蹴った。物凄く痛かった。
「何だよ……何だよ……」
涙が塊になって落ちた。あたしは怒りながら、泣いていた。
せっかく友達になれたと思ったのに。
何か大きな事を隠して、嘘吐いて、逃げて。そんなの友達のする事じゃない!!
親友辞めて、絶交だよ。あたしはそう言った。友達なら、嫌がるはずだ。否定するはずだ。それなのに七海ちゃんは、絶交でいいよ、なんて、酷い事を言った。そして出て行ってしまった。
「ううう……何で行っちゃうの、七海ちゃん……」
あたしの、はじめての、友達。
0時を過ぎても、七海ちゃんは帰ってこなかった。
あたしは泣き疲れて、ベッドの下段にしゃがみ込んでいた。涙はもう乾いてしまっていた。
七海ちゃんは、あたしとの約束を破った。もう、二度と会いたくない。それに、二度と会えない、気がする。
暑さで窓を開けていたので、涼しい夜風が入り込んでいたが、風に混じって、フシギな声も舞い込んだ。
おいで……おいで……
?
おいで……おいで……
私はその声につられ、ベッドを立つと、窓に向かって、吸い寄せられるように歩いた。
窓から身を乗り出すと、夜空には星が1つも無かったが、代わりに暗い天の真ん中に、眩しい光源が、チカチカと点滅していた。
何かがあたしを呼んでいる。
あたしの居場所はここでは無かった。
「行かなくちゃ」
あたしは夜空を、歩いて登って行った。
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