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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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425 :げらっち
2024/08/10(土) 12:41:50
けん玉の先っちょは刃になっている。凶華は私の肩を掴んで、迷い無く刃を私の喉元に向けた。頚を掻かれれば、生身の私は首から血飛沫を上げ、簡単に死ぬだろう。
「何しとんねん凶華、おかしくなったのか!!」と公一。
だが凶華は正気のようだ。
「考えてもみろよイチ。あいつの狙いがコボレンジャーだとして、取引を成り立たせるなら、同等の物を天秤にかける必要がある。つまりカエを返して欲しいなら、ナナの命と引き換えだ」
それは正論だ。
「やいレプリカの先公!! カエを返せ、さもなきゃナナを殺す! ナナが死んだら困るだろ!?」
私は上空のレプリエルを見た。私たちを見下ろし、真剣な表情で、迷っているようだった。
凶華の見た目からは想像できない握力によって拘束され、喉元に刃がちょっとだけ触れている。私の全神経はその一点に集中していた。凶華は、必要とあらば、迷い無く私を殺すだろう。その時点でレプリエルの目的は達成できなくなる。冷酷とも言える判断を瞬時に下せる凶華は、強い。
レプリエルは有邪気に笑った。
「いいよ、伊良部楓を返してやる。小豆沢七海が死んでは意味が無いからね。ここは痛み分けとしようじゃないか」
そう言うと彼は、青いニジストーンを放り投げた。
私も凶華もそれを目で追った。
甘さと非情さ、それを思い知らされた。
青いニジストーンは発光した。私の目も凶華の目も釘付けになって、その光りに見惚れる他なかった。これがニジストーンのちから。青、青、青、空間が津波を起こし、私たちはシッチャカメッチャカになって、斃れた。
気付くと私と公一と凶華は折り重なって倒れ、レプリエルはニジストーンをキャッチしており、私たちに指揮棒を向けていた。
「ニジストーンのデモンストレーションはいかがだったかな? さあみんなで仲良く石になろう♪」
ドオン!!!!
何も無かった白い空間がひっくり返り、30度くらいの傾斜が付き、私たちは滑り落ちた。そのまま奈落まで急降下と思いきや、白い台座にぶつかって止まった。
レプリエルは羽を動かしてちょっとだけ浮き、この天変地異に耐えていた。
「今度は何だ!?」
流石のレプリエルも立て続けの妨害に少し苛ついたようだ。
「このピカリポットを侵害する者は誰だ!?」
「僕ブヒ」
2度目の轟音と共に、白に、穴が開いた。空間の遥か上の方に、メカノ助の腕が突き刺さっていた。2本の腕は白を引き裂きこじ開けた。ドザァ、大量の雨粒が雪崩れ込んだ。メカノ助が円盤に跳び付き、穴を開けたのか!
「いよっ、ナイスタイミング!! ピンチの時に駆け付けるのが本当の仲間やな!!」
穴の向こうに見えるのはメカノ助の頭部コクピットと、雨天。雨は降りしきり、円盤の中の白い空間に雨水が注ぐ。
そしてコクピットには、黄色い戦士、佐奈の姿が見えた。
「七海さ~ん! 戦士たちを操ってるのは多分そのタクトだ。ぶっ壊して!!」
「オイラに任せろ!!」
私に代わり、凶華が狙いを済ます。
「うゐの奥山、けふこえて!!」
凶華はワオーンと大ジャンプ。
「浅き夢見し、ゑひもせす!!」
百人一首の札を取る要領で、レプリエルの手から指揮棒をはたき落とした。ぽきっ、指揮棒は折れた。
佐奈の言う通り、あの指揮棒が学園の戦士たちを指揮していたのだろう。これで皆の洗脳が解けたはずだ。
私は命ずる。
「反撃開始!!!」
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