スレ一覧
┗
380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
┗429
429 :げらっち
2024/08/12(月) 22:59:44
第39話 出色だね
私はただ虹が見たいだけだった。
でもそれは彼の願いでもあった。赤坂いつみ、こと、光りの天使レプリエルは、7色の人材を集めていた。
私の夢と彼の願いがリンクし、彼は私に7色のメンバーを集めさせた。
実力証明が終わった時、レプリエルは正体を現し、学園は光りの円盤ピカリポットの傘下に置かれた。
レプリエルは、コボレンジャーの6人と自身とで、7つの魔石ニジストーンと成り、巨いなる魔力で、赤く塗られた世界をリメイクしようとしている。
楓が捕らえられた。皆で挑むも勝てなかった。私は空間のひずみ、世界のゴミ箱に迷い込んだ。そこで、コボレンジャーの7人目、赤を見つけた。
「エリート気取って死ぬより、落ちこぼれとして生きる方がよっぽど良いよ、そう思わない?」
天堂茂は顎をしゃくれさせた。父親の面影が見えた。
「研鑽を怠った底辺の考えだな。いいか? 例えオチコボレンジャーに所属しても、僕はエリートを目指し続ける。これは父上に押し付けられた価値観などではない。僕自身が、己の精進を心から望んでいるのだ。馴れ合いの青春などゴミだ! 僕は青春を赤く塗り潰し、お前らを踏み台に更なる飛躍を遂げるだろう」
後半はよく聞いていなかった。割れた眼鏡で言われても説得力が無い。
やはり仲良くはできなさそうだ。
私は真っ暗を見渡す。
光りが無い故の闇ではない。光りも闇も、何も無い故の黒なのだ。
有るのは私と天堂茂だけ。だから暗澹とした中でも、自分の体や、天堂茂を見ることができる。
「して、どのように脱出する気だ?」
「とにかく変身して、この世界をぶっ壊す」
「成程な、落ちこぼれらしい短絡的な考えだ」
茂は卑しい目になった。
「私は戦隊証を持ってない。あなたのを貸して欲しいんだけど」
「ナンだと!?」
茂はシャウトした。そりゃそうだろう。戦隊の証を他人に、しかも大嫌いな私に貸与するなど彼のプライドが許すまい。
「いいから貸してよ。ここから出るために協力してくれるんでしょ?」
茂はポケットから戦隊証を出した。私はそれを受け取ろうと手を突き出す。
彼は、意地悪く戦隊証を引っ込めた。
「ああ協力はしてやろう。だが上下関係という言葉がわかるかな? どっちが上か、お前のちっぽけな脳みそでも理解位できるのだろう? 変身するのはこの僕だ」
「何言ってるの、前に火球カーストを受けた時技が跳ね返ってあなたが被弾した。私の実力はあなたより上だ」
図星だったのか、茂は唇を噛み、私に魔法の矛先を向けた。彼のイロが熱を孕み、私は汗ばんだ。
茂は変身の呪文を叫ぶ。その瞬間、私は彼の戦隊証をひっつかんだ。
「ブレイクアップ!!」
私と茂は同時に変身した。2人で1つの変身アイテムを握っている。
「離せ小豆沢!!」
「離さない。ここから出るまではね。いい加減覚悟を決めてよ、行くよ」
「ちっ、仕方ない!!」
私と茂はゴーグル越しに視線をかわした。そして次の瞬間。
「スパイラルスノウ!!」
「スパイラルフレア!!」
空間に魔法をがむしゃらに飛ばす。
「ブリザード! ツララメラン! ドライアイス! 氷晶手裏剣!! グレートマンモス!!!」
「ファイアペンシル! 火球カースト! 火エラルキー! 火炎タッピング!! ヒートミサイル!!!」
ここは通常の世界ではない。摂理の無い一次元だ。だからバグが生じた。大量の魔法を一度に受け、世界が崩れてゆく。
私たちは、黒の裂け目に頭から突っ込んだ。冷水にダイブしたような感覚、次の瞬間には正しい温度と正しい光りが戻った。世界に戻ってきた。ここは。
[
返信][
編集]
[
管理事務所]