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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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433 :げらっち
2024/08/12(月) 23:01:41
罹災した学園から出ることもできず、負傷者たちは校舎や体育館に避難していた。
怪我をした者を救護し、歩けなくなった者に肩を貸し、励まし合う生徒たちの姿がある。
人を助けるのはヒーローの本分だ。そういう点では、これこそが戦隊学園の正しい姿と言える。
しかし今まで内輪揉めをしていたのが、ピンチになってようやく助け合うようになるとは、なかなか愚かしい。
司令塔の無い戦隊など烏合の衆だ。
こうなったのも、校長先生の死や赤坂いつみの離反、Gレンジャーの壊滅により、今まで頼られていた教師陣が機能しなくなったからだ。
私はとある人物のことを思い出していた。
戦隊学園の教師でありつつも、徒党を組んで戦うことをヨシとせず、1人で戦い続けた男。本当は、仲間の大切さを、誰よりも知っている男。
人がごった返す体育館で、生徒たちに介抱されている教師の姿を見つけた。
青竹了、黄瀬快三、緑谷筋二郎、桃山あかり。同僚だった赤坂いつみにより無残に負けた4人が、包帯を巻かれ、マットの上に寝かされていた。
私はそこに声を掛けた。
「無事だったんですね?」
青竹先生は比較的軽傷で、目を動かし私を見た。
「なんとかな……まさかいつみのヤローが学園をこんなにしちまうとは。肝心な時に戦えず、不甲斐無い」
「死者は?」
「いや、今の所は確認されていない」
「1人を除いて、ね」
意味ありげな私の言葉に、青竹先生は「何?」と返した。
言うべきか、言わないべきか。言う必要があるだろう。私は喉と舌を動かし、伝達ツールとしての声を外に送り出す。
「校長先生は」
死んでしまった。そこまで言わずとも、青竹先生はその意味を理解したようで、カッと目を見開いた。
しかし私の言葉は最後まで出なかった。何故なら、爆音がし、熱波が走ったから。体育館の窓ガラスが全部割れ、生徒たちは悲鳴を上げ、青竹先生は呻いた。
ピカリポット及び小型の円盤による攻撃が激しさを増している。
私は青竹先生に怒鳴った。
「地下牢への行き方を教えて下さい!!」
「地下牢だと? 西校舎の地下にあるが……何故だ!?」
それだけ聞くと、踵を返して走り出す。
「待て、危険だぞ小豆沢七海!!」
危険じゃない道なんて無いよ。
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