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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
 ┗441

441 :げらっち
2024/08/15(木) 11:13:30

 私は目を見開いた。その瞬間死の光りは消えていた。視界はまだチカチカしていたが、それよりも、癒しの青が目に入った。
 青いニジストーンが発光し、浮遊し、主張している。レプリエルは狼狽えていたが、次の瞬間、青い光りの筋に首を貫かれた。
「ひぃっ!!!」
 レプリエルはしばらく体を震わせていたが、やがてあえなくひっくり返った。光りの筋はそのまま空を切り、公一たちの捕らえられている牢を焼き切った。透明な球体が割れ、皆が助け合いながら出てくる。

 青いニジストーンは、キラキラ優しく輝いて、浮いたまま私に近寄ってきた。

 色々なことがあった。色々なことがあり過ぎて、考えは二の次になった。
 私は変身を解き、深く頭を下げ、ただただ、彼女に言おうとしていたことを言った。


「ごめんなさい」


 許して。
 私と仲良くして。

 明るい答えが返ってきた。

「こっちこそごめん! これからも、よろしくね!」

 顔を上げると、ニジストーンは楓の姿に戻っていた。楓は私の懐に落ちてきた。
 私は彼女を思いっきり抱き締めた。
「会いたかったああ!!!」
「あたしも会いたかったよ!」
 私は華奢な熱源を抱き締めた。このぬくもりを欲していた。寒くて寒くてたまらないので、なるべく心に近付けたくて、強く抱き寄せた。
「聞こえていたかも知れないけど。私が殺した怪人は、楓のお父さんだったんだ。嘘吐いて、隠し事して、1人で背負いこんで、ごめん。一緒に背負って生きていくべき事だったよね」
「当然だよ! あたしと七海ちゃんは一心同体だもんね!!」
 楓も私を抱いた。私たちの心は、あったかくなって、くっついた。悲しさで何度も泣いたが、今度は嬉しさで涙が止まらない、どうしよう。

 ずっとずっとこうしていたかった。

 友達、できてよかった。

「これからもずっとよろしくね」


「オイ!! 2人きりでキャッキャウフフすんなや!!」
「オイラたちも戻ったぜリーダー! 一緒に遊ぼう!」
「何泣いてんですか。コボレがみんな一緒なんてのは、わかり切った事ですよ?」
「七海ちゃんはああ見えて結構ナイーブブヒからね! 僕と同じで!」
「黙れ豚」

 公一が、凶華が、佐奈が、豚が走ってきた。
 私は涙ぐむ目で、全員を見回した。良かった、みんな居る。

「ぐすんっ、それじゃあお待ちかねの、7人目のコボレ戦士を紹介しまーす!」

 私が突如明るく言ったので、みんなキョトンとしていた。
「えー、何でこのタイミングなん!?」
「誰ブヒ誰ブヒ!?」
「誰であっても歓迎しよう!!」

 私は倒れていた天堂茂を引っ張って、皆の前に立たせた。そして彼を小突いた。

「て、天堂茂だ。いいか落ちこぼれ共。僕が来たからにはオチコボレンジャーは学園一のエリートになるのだ。そしてエース兼新リーダーは、この僕だ!!」

 案の定、大ブーイングが起きた。
 最も怒っていたのは誰であっても歓迎しよう、との前言があった楓。
「はぁ? ふざけんな!!!」
 佐奈は佐奈で何かブツブツ言っている。
「七海さんクレイジーなのは知ってるけど信じらんナイ。コイツはコボレの敵ですよ何度も何度も嫌がらせされましたよね? コイツがうちらに侮蔑的発言をしたという事実は銀河が滅びようと永久に消えませんのよ。忘れたんですか記憶障害ですかケツひっぱたいて思い出させてさしあげましょうか」
「まあでもコイツのお陰でコボレは成長できたのもあるしな」

 公一は勇ましく茂に詰め寄り、面と向かって悪態をついた。
「絶対認めへん。ぶっ殺したる」
 茂は少し怯みつつも眼鏡を押し上げる。
「ふん、認められないのも無理ないだろうな。僕が入れば、お前らの出来の悪さがより明白になるからな」
「何やねんコイツ!!」
 豚もブーブー言っている。凶華はゲロかよー、と言って笑っていた。

 楓は私に肘鉄を決めてきた。ニジストーンのレーザー並みに痛かった。
「七海ちゃん、コボレンジャーは、2人で立ち上げたんじゃん! また勝手に決めて、おこだよ!!」
 膨れっ面の彼女の肩に、私は手を掛けた。
「まあまあ親友。友達が増えて、悪いことは無いでしょ? 茂は友達になりたいんだって!」

 全員が茂の顔を見た。茂は顔を赤くして、「だ、誰がそんなことを言った!? 僕はレッド、戦隊の顔だぞ!? お前らとは格の違いが……」などと弁論していたが、尻すぼみになり、みんなやれやれと首を振った。


「ようやく7人そろったのか。めでたいな」

 飛一郎が、そう言った。

「ナナミ、お前の虹を見せてやれ」

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