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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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443 :げらっち
2024/08/15(木) 11:14:09
「アガペー」
レプリエルは術を強めた。虹がイロに押され、落ちてくる。
「みんな気を緩めない!」
私たちは重心を低くし、足に踏ん張りを効かせ、最大限に力を込める。だが押されている、何故だ。
「疲れたよ七海ちゃん!!」
「アイツめっちゃ強い……分が悪いですよ、ここで全員が一度にやられたら……!」
7人の本気でも勝てないのか!? 最悪の考えが頭をよぎる。
私は周りを見渡し、光明を見出した。
「飛一郎! あなたも力を貸して!!」
少し離れた位置に立ち尽くす大柄な黒い戦士。彼はためらっていた。
「だがナナミ、虹はもう七色そろっている。黒は虹には無い色だ。俺が力を貸せば、虹は闇に染まるかもしれない」
「またそんなこと言って!!」
もどかしい。
私はゴーグルの下から彼を睨みつつ、彼に手を差し出した。
「虹は何色(なんしょく)でも良いんだよ。8色でもそれ以上でも良いし、黒があっても良いんだよ。来て!」
飛一郎は大きい手で、私の手を握った。
「あなたはもうアローン(孤独)じゃないんだ」
「……そうか、ありがとう」
彼は私たち7人に加わり、イロを放出した。
「ふんっ……!」
虹に黒い線が追加された。白と黒の両面を併せ持った私たちだけの虹が、レプリエルの術をゆっくりと押し返す。
「あ!! 七海!」
「うわ、すご!!」
「ブッヒャ~!!」
?
最初、何故皆が私を見ているのかわからなかった。だがようやく気付いた。
「小豆沢、自分の体をよく見てみろ!!」
私の体は、虹色に輝いていた。
私は両手を見る。
白に、赤に、青に、黄に、緑に、ピンクに、紫に、七色に、いやそれ以上に。
黒に、オレンジに、藍に、水色に、金に、銀に、プラチナに。十四色に、二十八色に、七十七色に、私の体は、無限のグラデーションに輝いている!!
「お前自身が、虹になったか」と飛一郎。
私は名乗った。
「コボレインボー!!!!!!!」
レプリエルの術でダメージを受けていた目は完全に回復したどころか強化され、赤外線も紫外線も全て見える。この世のどんな色もイロも全部見える。無限のイロは、移り変わる1つのレインボー。鮮やかになり過ぎた視界では、レプリエルのイロは褪せて見える。
レプリエルは無限のグラデの虹に、胸を貫かれた。変身を壊され、翼が捥げた。
「ああああああっっ!!!?」
レプリエルは悲痛な声を上げた。
「殺してやれ!!」と凶華。だが私は犬を制する。
「殺しはしない」
「何でだよ!!」
「アイツは校長を殺したんだろう? 報いを受けて貰う必要があると考えるが!!」と茂。
奴が校長先生を殺した罪は消えないが、だからと言って私たちが奴を殺せば校長先生が戻るわけでもない。
仲間たちは帰ってきた。
「もう二度と私の仲間に手を出さないならそれでいい。光りに帰って」
私がそう言うと、コボレの仲間たちも一応は納得したようだ。
レプリエルは、赤坂いつみは、光りに包まれ、見えなくなっていく。
「うわあ……やるなあ、ななみ……! 僕の見込んだ、とおり……」
「あなたのお陰で虹を見れた。虹になれた。あなたは恩師だ」
彼は最期に、子供みたいに、無邪気に笑った。
「うらやましいなぁ」
輝くアーチと共に、彼は消えてなくなった。
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