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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
 ┗444

444 :げらっち
2024/08/15(木) 11:14:37

 私たちは変身を解いた。

「ありがとう、いつみ先生」

 紆余曲折はあれ、戦隊学園に入学し、いつみ先生と出会ったお陰で、カラフルなメンバーに出会えた。


「よっしゃ、帰るか!」と公一。
「じゃー七海ちゃん! みんなにメーワクかけた罰として、みんなにおごること!」と楓。
「よっしゃー! ティラミス1年分!! ゲロの分は無し!」と凶華。
「何でだよ!」と茂。

 私はふっと笑った。おごるのは絶対に嫌だが、この先もカラフルな彼らと過ごせると思うと喜ばしい。
 だがまだ終わりでは無かった。


 ドゴオン!!!!


 大きな揺れがあり、私は突っ伏した。震度8。白い空間が細動し、砕けていく。操縦士であるレプリエルが退場したらピカリポットが崩れるように設計してあったのか?
 いや、そんなわけはない。ピカリポットが攻撃を止めたのをいいことに、学園の戦士たちが反転攻勢に移り、上空のピカリポットを総攻撃しているのだ。私たちが敵を倒したことに下界の奴らは気付いてない。
「全員脱出だ、早くしろ!」と飛一郎。
「けどどうやって?」と楓。
 私たちが歩いてきた虹はもう消えてしまった。
「豚を巨大化させます」と佐奈。「メカノ助に乗って、ここから飛び降りればいい。豚はちゃんと着地できるだろうし」
「責任重大ブヒ~!!」
 佐奈はコボレイエローに再変身し豚に電流を浴びせた。豚の質量が膨らむ。
 その時、巨大な硬球が白い地面を突き破り、穴を開けた。穴の遥か下にはホームランジャーの巨大ロボ・ホームランオーがバットをスイングした後の姿があった。

『逆転サヨナラ特大ホームラン!! 決まったぜ!!』

「こらー、いつも活躍しない癖にこういう時だけ余計なことをするなー!!」
 白が崩壊した。私の這いつくばっていた地面が陥没し、落下。
「わあああっ」
 落ちて行く。
「七海!」
「七海ちゃん!!」

 1人でスカイダイビング。真下に見えますのは、焼け跡となった戦隊学園。
 絶景を堪能している暇は無い。ビュオオオオオオ凄まじい風音、皮膚も毛も内臓も風圧に引っ張られ苦しい。息ができない。
 このままでは校庭に叩き付けられて死ぬ。
 私の人生、素晴らしかった。最後の最後に虹を見れた。終わりは華やかカラフルだった。夭折、それもいいじゃないか。
 いいわけない。ここからが本番なんだ。

「死んでたまるか!!」

 私は宙を回転する。目下に、黒く煤けた時計塔が目に入る。
「雪クッション!!」
 時計塔の屋根に雪を積もらせ、そこにダイブ。多少衝撃は和らいだが、全身を強打し、雪まみれになって、そのまま屋根を転がり落ちた。
「ぐううう!!」
 手を伸ばし屋根のへりに掴まる。
 爪が割れたようなむごい激痛が末端に走る。全身がボロボロで、これ以上掴まっていられない。私は強く目を瞑った。

「七海!!!」

 名を呼ばれて、目を開く。
 緑の戦士、公一が雪の上に尻餅を突いた。私を追って飛び降りてきたのか?
「手を!!」
 公一は腹這いになって手を伸ばし、私の手を掴もうとした。だが僅かに間に合わず、私の指は滑り落ちた。
「うわ!!」
「七海!!」
 公一が屋根を蹴って飛び降りるのが見えた。空中で彼にぶつかられ、抱き締められ、体位が入れ替わった。彼が私をお姫様抱っこしているような状況になった。
「死んでも離さないで、七海姫!」
 助けてくれハズイ。これなら転落死した方が恥をかかず良かった。だが、嬉しかった。地面が迫る。

 公一は上手く着地できるかな?

 予想通り、着地に失敗した。公一は私を抱えたまま左右の足で着地するも、すぐに「あかんわ重!」と言ってバランスを崩し、私は地面に落っこちた。その上に公一が倒れ、覆い被さった。
 取り敢えず、死なずに済んで満点だ。
 私の見上げるすぐ先に公一の緑のマスク。

「ありがとう。あなたは私のヒーローだ」
「ほんまに重いなあ。俺より体重あるんとちゃう?」
「!!」
 野暮なことを。まあ私は公一より重い可能性は十分にあるが。
「あなたがひょろひょろなんだよ」

 ちょうどその時上空のピカリポットが限界を迎えた。巨大な物が壊れる音が響いて、私も公一も天を見た。
 ひびまみれのピカリポットは粉々に割れて、光りと成って消えた。メカノ助は落っこちて、時計塔のすぐ先に着地した。ドスン!! 物凄い騒音と揺れが走った。みんな無事脱出できたようだ。めでたし。

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