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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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445 :げらっち
2024/08/15(木) 11:14:56
「いい加減どいてよ」
公一は私に覆い被さり、地面ドンしたままだ。
公一は変身を解き、素顔で私の顔を見た。私は私の顔があまり好きではないので、見られたくない。目を逸らす。横を向こうとしたが、両手で顔を掴まれ、無理矢理上を向かされてしまった。公一は重くないがのしかかっており動けない。まあ本気で抵抗すれば股間を蹴り逃走を図れるが、今はされるがままだった。
公一は睨むように私の目を見ていた。
「で、次は何?」
「す、するぞ」
「何を?」
「キスを」
あちゃー、だめだな。断りを入れてからやろうとしてしまうのはやはり野暮だ……
男らしくひと思いにしてくれたらいいのに。以前は変身したままマスク越しにし、ノーカンとなったわけだが、素顔で生で触れ合うのは緊張感が違う。公一は私がゴーサインを出すのを待っているのかいつまでも私の目を見たまま動かなかった。私はすっかり白けてしまった。すると。
「ぴぎゃあ!」
横から炎がぶつかってきて、公一は裏返った声を出して吹っ飛んだ。私は重りから解放され体を起こした。
公一を攻撃したのは赤い戦士だった。
コボレッド、天堂茂だ。手から炎を出しつつこちらに歩いてくる。
「衆目に晒される中で不埒なことをするとはどういう神経だ? 世の風紀を乱すのは常に落ちこぼれの障害者だ」
私は立ち上がる。
「落ちこぼれの障害者だけど悪い?」
「研鑽を怠るのは悪だ。小豆沢七海、今こそ決着を付けようではないか!! お前のようなふしだらで教養の無い女には務まらん。コボレンジャーのリーダーはこの僕が務める!!」
「何言ってるの、リーダーは私と紀元前から決まっているよ!」
「実力で決めようではないか、いかがか!」
「言われるまでもなく!」
私は戦隊証を取り出し、改めて変身。
「コボレインボー!!!!!!!」
茂は明らかに狼狽えていた。私がコボレホワイトに成ると思っていたのだろう。残念ながら、虹の余韻で、強化形態のコボレインボーに成れる。
私は茂に狙いを付ける。
「ニジヒカリ!!」
茂も攻撃。
「アカいハル!!」
2つの魔法がぶつかり、接点には巨大なエネルギー。押し合いをするもケリがつかず、魔法の塊は破裂した。火の粉がべしべしと体中に当たった。熱い。
「レインボーブリッジ!!」
攻撃の手を緩めない。虹はくるっと1回転し茂を襲う。
「秀才カウンター!!」
茂は燃える手で虹を叩き割った。
「バーニングヴァルナ!!」
そのまま炎で身を包み、猛牛の様に突っ込んでくる。
「貰ったり!」
「虹リボン」
私は新体操のように虹をくるくると回し自分の体を包む。
「七色ヨロイ」
茂は私に頭突きを噛ました。私は虹の守りでそれを耐える。
「うおおお……!!!」
虹色の火花が散る。私の虹は越せまい、というのは奢りだった。ついには茂の炎が、私の虹をほどいた。7色の線は散り散りに消え、私は生身の七海に戻った。
「どうだ、ま」
「虹返せ!!」
私は素手で茂の頬をぶちのめした。彼の変身も解け、ひび割れていた眼鏡は完全に砕け散り、彼は尻餅を突いた。
「よくもッ!!」
茂は立ち上がり、私の頬に拳を命中させた。そんなに痛くはなかったが。
「やっと自分の力で戦えるようになったか」
「黙れこの落ちこぼれがッ!!」
「じゃあ落ちこぼれに負けるあなたは何なの?」
私は彼の腹にハイキック。彼は吐血し、真の意味で赤い戦士に成った。
公一が、楓が、凶華が、佐奈が、メカから戻った豚が、私たちの戦いを見ていた。
ボロボロになった戦隊学園。
虹の下の校庭で、私たち2人武器も持たず、魔法も使わず、変身さえもせずに、子供の喧嘩のように、ただ体同士をぶつけて争っていた。
「決着がつかないな、小豆沢七海」
「うん。私たちは互角」
私も茂も全身を使って大きく息をし、汗にまみれている。髪は乱れ、服はボロボロだ。
体力も限界に近い。どちらか一方が倒れれば、残る一方も倒れ、この勝負は痛み分けに終わるに違いない。
「次の一撃で終わりにしよう」
私は握り拳を掲げた。
リーダーとしての実力を示して、今度こそ茂を完全にコボレンジャーの仲間にするんだ。
「いいだろう。此れは究極の頭脳戦だ。最も混じり気の無い手の内の読み合いだ。シンプルに互いの実力、経験値、そして運がわかる」
茂はにやつき、拳を掲げる。
「じゃーんけーん」
私たちは拳を振りかざした。
「ぽん!!」
茂はグー。
私はパーだった。
「私の勝ちだね」
「ぢぐじょおおおおおおお!!!」
茂は地をのたうち回って悔しがった。
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