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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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48 :げらっち
2024/05/04(土) 20:00:03
雄々しい声。何故女子寮に男子集団が居るのか。
「早く開けろ!! こちらにはマスターキーがある!! 応じないなら無理矢理開けるがそれでもいいか!!」
「喚かないでよ。ちゃんと開けるから」
私はゆっくり鍵を解除した。
廊下には4人の男子生徒が立って居た。皆長身痩躯で制服をきちっと着ている。
「夜中にうるさいんだけど」
「どの口が言うか! 夜半まで騒音を流していた事実は知れているぞ! 14件の苦情が、我々風紀戦隊ソウサクジャーに届いている! 22時には消灯しろ、さもないと校則違反となる!!」
ソウサクジャー、忍術クラスに所属する、学園の風紀を取り締まる戦隊だ。
堅苦しいことを言ってるが、そんな規律を守る人など誰もおらず、殆どの生徒が夜更かしをしているようだし、守る義務も無い。
「あなたたちの方がうるさいよ」
「何ィ!!!」
「シャラップ。落ち着きなさい」
廊下の奥から、5人目の男が現れた。
長身に、茶髪のマッシュルームカット。女々しい表情。くねくねとした歩き方。でも角ばった骨格から、男であるのはわかる。他生徒とは違いシルバーのブレザーを着ていた。
「あ、最首さん! こいつらが減らず口を!!」
「アタシにお任せなさい」
茶髪は私たちの部屋に、長い首を突っ込んだ。
「おばんどす。3年生、ソウサクブラウン・最首権(もくびけん)よ。忍術クラスの首席アンド風紀委員長も務めているワ。アタシの茶色は、学園一美しいの」
最首はサラサラの茶髪を棚引かせた。
確かに美しいのは認める。髪も眉毛も睫毛もネクタイの色も、そしてイロも、綺麗な茶色に統一されている。
でも、何だか気持ち悪い。
「髪染めるのも規則違反じゃないの?」
「あらァ、おナマな子ね。先輩には敬語をお使いなさい。アナタこそ白く染めてるじゃないの? それにそのカラコン」
最首は私の頬をペチペチ叩いた。触れんな。ていうか、私の白は染髪だと、私の青眼はコンタクトだと、本気でそう思っているのだろうか。こんな男が風紀委員長で、大丈夫か戦隊学園。
「まぁそんなことは仏壇の前にでも置いときましょう。江原公一が此処に逃げ込んだのは、お見通しなのよ」
最首は化粧で小綺麗にされた顔で、吐き気のする作り笑いを見せると、ずかずかと部屋に押し入った。
「こらあ! 女子の部屋に勝手に入らないでよ!」
楓が両腕を広げて通せんぼする。
「伊良部楓、アナタが制服のスカートを短くしてはしたない格好をしているのにも苦情が出てるのよ?」
「ダンシに構ってほしかったんですぅー!」
「正直だね楓」
最首は、白い手袋をはめた手で、四つ折りの紙を取り出す。パッと開いたその紙は、歴史の授業のレジュメと大差ないように思えた。
「これが捜査令状よ。ほら早く捜しなさい! ちゃっちゃとやるの!!」
最首がパンパンと手を叩くと、ソウサクジャーの4人の男が部屋に入った。2人部屋に男が5人も入ると窮屈だ。空間が狭く思われた。
男たちは部屋を物色し始めた。クローゼットを開けたり、座椅子をひっくり返したり、ベッドのシーツを引き剥がしたりと、かなり横暴な振る舞いをする。ベッドのシーツの隙間に人が居るわけないのに。家宅捜索の大儀の元に部屋を荒らすサディストだ。
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