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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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54 :げらっち
2024/05/04(土) 22:15:53

「もう逃げ場は無いかもね。潔く出て行って、最首と直接対決すれば?」

「はあ?」
 公一は口をあんぐりこと開けた。
「何言うてんねん! 投げ槍になんなや!」
「投げ槍じゃないよ。男なら正々堂々と勝負しなくちゃ」
「男も女も関係あらへん!! その場でフルボッコにされてお縄やもん! 嫌や!!」
「いくじなし」

 公一はじろ、と私を睨んだ。

「何やて? もう一度言ってみぃ」

 私は相手によく聞こえるように、明瞭に言う。

「何度でも言ってあげるよ、意気地無。そもそも自分の問題でしょ。自分で片を付けなくてどうするの?」

「ああん!?」
 ドスの効いた声で、空気が冷え切った。こんな男っぽい声も出せるのか彼は。
「前から思ってたねんけど何でそう上から目線なんや? そんなんじゃ友達できひんよ。もうコボレンジャーやめさせてもらうわ」
「やめたら受け入れ先無くなっちゃうんじゃないの? 1人ぽっちの戦隊になっちゃうかもね。あ、それより先に、最首に逮捕されて退学か」
「うっさいな!!」
 公一はステップを踏み、私と間合いを取った。まるで忍者みたいな動きだ。
 私と公一は、ほぼ同時に戦隊証を取り出し、唱えた。

「ブレイクアップ!!」

 息ピッタリだ。
 私は白、公一は緑。私はスカート、公一はパンツスタイルの戦士に成る。透明のゴーグルの下、目と目が合う。

「コボレホワイト!!」
「コボレグリーン!!」

「あ、コボレグリーンって名乗っちゃってるじゃん。コボレンジャー抜けたんじゃなかったの?」
「あーうるさいうるさい聞こえへんな。他に名乗りようがないねん。上げ足取りやめーや。いっぺん痛い目に遭ったほうが良いんとちゃう?」

 公一は壁を叩く。絡繰り扉が反転。中にはびっしりと忍器が収納されていた。彼はそれを手に取る。
「女だからって容赦はせえへんで!」
「いいよ、男も女も関係無いんでしょ? 本気でやろうよ、2人きりなんだし」
「上等や。苦無や喰らえ!」
 ドスッ!
 黒いナイフのような忍器が、私の足下の畳に刺さった。
「当たってないよん。手裏剣と同じで、的外れ」
「黙れや!!」
 手裏剣が空を切り、私の真横を掠め、背後の壁に突き刺さった。避けていなければ顔面に直撃したかもしれない。

「ふうん。本気でやればできるじゃん」

「余裕ぶってられるのは今のうちや」
 公一は新たに2本の苦無を構える。
 私は先程公一が投げた苦無を、畳から引き抜いた。
 公一は2本の苦無を手に歩を詰める。だがなかなか攻めてこない。いっちょ挑発してやるか。
「おいで? メンズファーストだよ」
「このアマ!!」
 彼は右手の苦無を振るい、私の顔面目掛け刃先を突き出した。苦無で切り結ぶ。金属のぶつかる音。腕力で相手が勝り、押し負けそうになる。
「もらいや!!」
 公一は左の苦無で私の心臓を狙った。そういやこいつ左利きだったな。でも甘い。
「アイスバリア!!」
 私の身体が氷の守りをまとった。
「何や?」
 苦無の刃先がバリアにぶつかり氷の粒が散る。攻撃は私に届かない。
 今だ。

「スパイラルスノウ!!」

 私は吹雪を生み出した。公一は情けなく悲鳴を上げ、障子を突き破り、夜の校庭に落っこちていった。

「魔法は卑怯や言うてるやろ~~!!」

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