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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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59 :げらっち
2024/05/08(水) 13:03:18
第6話 小さな黄、大きな桃
最首権の無期停学が1面に載る今週の《週刊☆戦隊学園》、それよりも気になるのは私についての特集記事が組まれたことだ。それも、無許可で。
私が入学式でスピーチをした時の写真がデカデカと貼られ、煽り文句が綴られている。
《真っ白い新入生、小豆沢七海! 見ると不幸が訪れる!? エイリアン説も?》
記事はもっと酷い物だった。
入学式以降よからぬ噂の絶えない白い生徒について、この度本誌は特集記事を組んだ。
名は小豆沢七海(16)、魔法クラスへの在籍が決まっているという。
注目すべきは世にも珍しい真っ白い見た目、そして真っ白い変身。
魔法クラスのリンネマン氏(17)は、これは前世で大罪を犯した呪いによるものではないか、との見解を示した。徐々に体が白くなり、最後は存在が完全に消えてしまう可能性もあるという。また、小豆沢七海は災厄を振り撒いており、見た者にも不幸が訪れると考えられる。
実際に小豆沢七海は、4月5日(火曜日)1時限目の「戦隊の歴史」の時間、理事長の子息・天堂茂氏(16)に突然掴み掛るなどの問題行動を起こしており、多数の生徒に目撃されている。その後小豆沢七海は教室で暴れたが、天堂茂氏は素早く的確な判断で、戦士エリート・ワンとして小豆沢七海を討伐している。もし彼がこのような正義の行動を取らなければ、事態は更に深刻化していただろう。
入学式のスピーチも、戦隊学園に対する宣戦布告という捉え方もあり――
憤懣やるかたないが、相手にするだけ、無駄だ。
コボレンジャーがソウサクジャーに対し大金星を挙げたことに対し、その記事を霞ませるために天堂茂が手を打ったのだろう。ずる賢さで彼の右に出る者は居ない。
私と楓は廊下を歩いていたが、すれ違う生徒たちは私をじろじろ見てひそひそ話したり、あからさまに避けたり、悲鳴を上げて逃げたりした。
まあ、以前と何も変わらないが。
後ろを付いてきていた楓が、私の肩をちょんっと叩いた。彼女は歩きながら例の新聞を読んでいた。
「ねえ……見た者にも不幸が訪れる、ってのは流石にガセだよね……?」
私は呆れ、大きく溜息をついた。
「楓、あなたまでメディアに流されてしまうの?」
「そ、そりゃ七海ちゃんを信じてるけどさ……」
私は楓を睨んだ。
「ガセじゃない、って言ったらどうするの?」
「え!?」
楓は目を白黒させた。
「そうしたらあなたは私と友達じゃなくなるの?」
「いや……そうじゃなくて」
楓は新聞をビリビリに引き裂いて放り捨てた。
「ごめん、なんでもない! 七海ちゃんが友達じゃなくなる方がよっぽど不幸だよ! 七海ちゃんは七海ちゃん、あたしの友達兼親友だよ!!」
いつの間にか親友に昇進してる。
私はふっと笑い、また歩き出した。
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