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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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62 :げらっち
2024/05/08(水) 13:20:53
私と楓は、ガラス張りの専用エレベーターで地下に向かった。学園はただでさえ広いのに、地下もあるというから驚き桃の木山椒の木だ。
「巨大戦力なんて本当にあるのかなぁ?」
「さあ」
エレベーターの外は真っ暗で、ガラス戸に反射した私たちの顔が映っている。
すると突然、視界が下から上に開けていき、地下とは思えないほど広い空間が目に飛び込んだ。
「うわぁー!」
私も楓もガラス戸にへばりついて、眼下の広大なガレージに見入った。
生徒たちが、巨大なプラモのパーツのような部品を運んでおり、車や飛行機などが組み立てられている。
その圧巻の光景に見とれ、次第に床が迫っているのに気付かなかった。エレベーターが到着し、ガラス戸が開いたため、私も楓も、前のめりに床に倒れた。
「いたた……」
「起きて楓! 行ってみようよ!」
「あはは! クールな七海ちゃんでも興奮するんだ!」
こんなSFの世界を見せられれば、男子小学生でも女子高生でもお構いなしに興奮するだろう。
私と楓は金網の張られた床をカンカンと走った。
少し先で、ヘルメットを被ったいかつい男たちが、巨大なパワーショベルを見上げていた。
あれでも学生なのか。黒ひげ危機一髪のような髭が生えていてもおかしくなさそうだ。
「クラス見学に来ましたー! 機械クラスの先輩たちですか?」と楓。
男たちは私たちには目もくれず言った。
「その端くれだ。俺たちは建築戦隊ジュウキマン。メカの設計をしているのは俺たちじゃない、デザインジャーだ。しっかし大した仕事っぷりだぜ……」
男たちは巨大な重機を見て惚れ惚れとしていた。
「その人たちはどこに?」
「今は4番ガレージに居るだろう。しっかしお高い連中だからな。態度には気をつけろよ」
私と楓は4番ガレージを目指す。大病院のように床にカラフルな線が引かれており、黄色い線に4と書かれていた。これを辿れば着きそうだ。
金網の階段を上がっていく。
腰を抜かしそうになった。
古都の大仏ほどもあろう巨大ロボットが胡座をかいていた。全身が黄色い。
私は恐る恐る顎を上げ、頭を見た。頭部はすっぽりと白い布に覆われていた。助かった。目が合ったら石化してしまうかと思った。
「ひやー。学園は本当にロボ開発してたんだ! すごいねぇー」
「うんすごい……」
戦隊が運用するロボというのは教科書で見たことがあるが、いくら知識を蓄えても、実物を見た時の感嘆には敵わないのだった。
このロボが動くのだろうか。格闘クラスでは戦士1人1人が兵器に匹敵する強さを持っていたが、更に巨大兵器まで持ち合わせれば鬼に金棒、戦隊は外の世界で大きな戦力となるだろう。
「これもデザインジャーが作ったのかな?」
私たちはデザインジャーを探す。するとすぐ近くのコンテナの物陰から、怒鳴り声が聞こえた。
「いつまで居んのよチビ! あーたなんかがデザインジャーのメンバーになれるわけないでしょ!」
「チビって言うな。うちの実力を知らないんですよ。真っ向勝負して下さい。うちが勝ちますから」
見ると、背の高い茶髪の女子と、背の低い黒髪ポニーテールの女子が言い合いをしていた。茶髪の方は緑ジャージ、黒髪の方は制服を着ている。その周囲には緑ジャージの女子生徒がわらわらと集まってそれを見ている。
「うざい! どんなに足掻いても黄色のあーたはもういらないっつの!!」
大きな方が小さな方を蹴飛ばした。ジャージ集団はきゃらきゃら笑った。
小さな方はコロン、と転がったが、だるまのようにすぐに起き上がり、丸眼鏡を押し上げた。
「がんばれ」
私は咄嗟に、その子を応援してしまった。何故だろう。他人に同情する主義では無いのに。
倒されても起き上がる彼女が、自分の姿に重なったのかもしれない。
2人は一斉に私のほうを見た。
「あ、どうも。クラス見学に来ました」
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