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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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66 :げらっち
2024/05/08(水) 13:43:23
「オラ邪魔だぁ!! 食堂はドスコイジャーが使わせてもらう! 失せろやあ!!」
どかどかと、巨漢の集団が入ってきた。並んでいた生徒たちを張り手で突き飛ばしていく。
青・黄緑・紫の着物で巨体を包んだ、3人の力士。先頭は青。眉毛を剃った柄の悪そうな顔には見覚えが無いが、その青いイロにはバッチリ見覚えがあった。格闘クラスで相撲を取り藍風に負けた力士、青竜丸だ。
土俵では怒気こそあれ殊勝な態度だったが、これじゃあただの不良じゃないか。暴力に走った時点で格闘技をやる資格が無いし、戦士としても失格だ。
「スト~ップ!! 食堂はみんなのものだ!」
3人の男子生徒が果敢にも躍り出た。
「なんだぁ? 俺たちは格闘クラスの精鋭だぞ? つまり学園の顔でもあるんだずぉ? 食事を優先してとる権利があるだろがぁ!!」
支離滅裂な理論だ。
「ここは戦隊らしく、変身して白黒つけようじゃないか」
「よかろう」
「ブレイクアップ!!」
2つの戦隊が一斉に変身を決める。
食堂に居た生徒たちは、固唾を飲んでその光景を見守っている。戦隊学園ではこのような生徒間の衝突がよくあるのだろうか。騒がしい日常だ。
「安全運転! 交通戦隊シンゴージャー!!」
赤・黄・青の戦士が、力士たちの前に立ち塞がる。
「待ったなし! 相撲戦隊ドスコイジャー!!」
力士たちは青・黄緑・紫の巨大な戦士と成った。廻しを巻いている。変則的な色の集まりだが、1人1人がデカく、集まると壁の様だった。
ドスコイジャーは四股を踏み始めた。ドスンドスンと揺れが起こる中、シンゴージャーの赤い戦士は進み出た。
「私はレッドシンゴー! 止まれ赤信号だ!! 順番を守れ!!」
「東ィ~ヒットウブルー」
青竜丸は、低く立ち合いの姿勢を取る。
「ハッキヨイ!!」
ダンプトラックが信号機に激突した。
たったの一撃でレッドシンゴーは吹っ飛ばされ、窓ガラスを割って落っこちていった。ここは5階だが、無事だろうか。
「ごっつぁんです!!」
「くそぅ! レッドシンゴーのカタキ!!」
シンゴージャーの2人が攻撃し、更に見ていた生徒たちも変身し、便乗して取っ組み合いを始めた。
食堂は忽ち戦場と化した。皿やコップが割れ、食べ物が床に飛び散る。
なんて勿体ないんだろう。静かにご飯を食べられる場所は無いのかな。
「な、七海さん大変だよ! 隠れなきゃ!」と佐奈。
「別に隠れる必要ないよ。ここは食事をする場所だし。正しいことをしているんだから堂々として居ればいい。ほら次あなたの番だよ?」
私はトレイを片手で持つと、佐奈の小さな背中を押して、カウンターに向かわせた。
すると今まで聞いたことも無いような怒声が飛んだ。
「あんたたち!!! 食堂で好き勝手するんじゃないよ!!! 美味しくご飯を食べられない奴は出入り禁止だよ!!!!!」
見ると、厨房のおばちゃんたちが、戦士に成っていた。
この人たちも変身できるんだ……
「お勝手戦隊キッチンジャー!! 秘技おいしくなあれ!!!!!」
5人のおばちゃん戦隊が必殺技を放ち、食堂で乱闘していた生徒たちは、泣き叫びながら鍋に吸い込まれていった。
このまま具材にされるのだろうか。不味そうだ。
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