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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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80 :げらっち
2024/05/10(金) 10:37:35

第8話 試金石


 あの負けイベ、《雨天の戦い》から数日が経過、今度は中ボス戦だ。

 5月2日、月曜日。新緑の候、ゴールデンウィークなど無用の長物。
 お試し月間は終わり。必修科目と各クラスの専門科目を受けながら、日々を過ごすことになる。
 第一関門は、入学して最初のテストだ。
 そこまで難しい内容では無いようだ。それでもこの1か月は、クラス決めや戦隊のメンバー集め、多忙かつ真新しいことばかりでくたくたになったので、勉強時間はほどんど取れていない。

 私と楓は朝食の席でも戦隊の歴史の暗記を続けていた。楓は教科書を見ながら問題を出してきた。
「戦隊の祖と呼ばれているのは?」
 私はすかさず答える。
「戦闘部隊ゴリンジャー」
「戦隊で最初に巨大兵器を運用したのは?」
「超高層タワーマン」
「あたり! すごいね七海ちゃん!!」

 入学してから確実に知識を増やしている。まあ実戦で相手が「戦隊の祖と呼ばれているのは?」などと質問してくるわけが無いので、こんなのは学校のテストという敵を倒す以外役に立たないだろうけど。
 それでも成長を実感できるのは良い事だ。
 カレーの食べ過ぎで体重も成長したし……

 楓が見ていた教科書を借り、今度は私が問題を出す番だ。

「じゃあ問題です。戦隊の祖と呼ばれているのは?」
「えーと、ゴリンジャー」
「戦隊で最初に巨大兵器を運用したのは?」

 今しがた楓が出した問題だ。単なる腕試し、のつもりだったが。

「えーと……え?」

 楓はパックごはんを食べる手を止めフリーズしてしまった。
「もう1回言って?」
「戦隊で最初に巨大兵器を運用したのは? さっきあなたも同じ問題出したでしょ?」
「そうだっけ? それは教科書を読んでただけだから……えーと、えーと」
「タだよ、タ」
「タレンジャー?」
「なんじゃそりゃ。タワーマンだよ、そんな調子で大丈夫?」

 楓は追い詰められた顔になってしまった。ちょっと言い過ぎてしまったみたいだ。
 楓は頭が良さそうでは無いが、この記憶力は少し異常なんじゃないか。

「あはは……あたし昔から物覚え悪くてさ。同じ間違いを3度する人だから」
「3度で済めばいいのだけど。ま、誰にでもそういうのあるよね」

 誰にでも少しの欠陥はあるものだ。

 御馳走様、と唱えた後、朝食後薬。
「そーいや七海ちゃん、そのお薬どこで貰ってるの?」
「薬剤戦隊メディスンジャーから毎月貰うことになってるよ」
「めりすんじゃあ!?」
「メディスン、薬のことね」

 入学前、採寸などで一度学園に来た際に、持病のある人は校医の医療戦隊ファイブドクターの診察を受けた。そこで処方箋を書いて貰い、在学中は毎月無料で薬を提供して貰えることになったのだ。助かる、というか当然の事だが。

 5月になって部屋に新しい薬が届いた。
 幾つもの錠剤を、水無しに飲み込むのが私の特技だ。

 服薬を終え、私と楓は早めに部屋を出ることにした。遅刻したらマズいし、勉強の続きはテストの行われる教室ですればいい。

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