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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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89 :げらっち
2024/05/10(金) 11:12:29

 それは氷魔法の呪文だった。その場のほぼ全員が凍り付いた。ほぼというのは、佐奈だけが例外で、ふうふうと熱い豆腐を冷ましていた。彼女だけは順位が良かったようだ。
 他の3人はもうご馳走の味などわからなくなってしまったようだ。
「はい、ここはダンシから発表!!」と、楓が沈黙を破った。
「なんでやねん! 男女雇用機会均等法や!!」
「いや、ここは男らしく先陣を切るブヒ。待ったなしブヒ……」

 豚から発表する。
「僕は985位ブヒ……」

「えっまじ?」
 次は公一。
「俺は984位や。くやし!」
「1位負けたブヒ~~!!」

 1年生は1001人居るので、2人とも大分悪い。

「佐奈は何位なん?」
「……21位」
「ええ~~~~~!!!!」
 楓も公一も豚も絶叫した。まさかの二桁とは。
「落ちこぼれじゃないじゃん!」と楓。
 まあそれは言えてる。
 佐奈は賞賛などどこ吹く風、豆腐を頬張った。
「で、楓ちゃんは何位ブヒ?」
「せやで。他人に聞いておいて自分だけ隠すなんて最低のさいちゃんや!!」
 楓は赤面した。
「やだ! 教えない!!」
 男子2人に詰め寄られ楓は必死そうだ。同室のよしみで助け舟を渡してやるか。私はバッグから赤唐辛子を取り出し、鍋に容赦なく振り掛けた。
「わあ! なにしとんねん!! みんなの鍋を!!」
「プピー!」
「辛いほうが美味しいもん。みんな話してばっかで食べてないし」
「お前が順位訊くから話しとったんやないかい!」
「七海さん性格スパイシー……うち辛いの食べられないです。おくちのなかが痛くなってしまうので」

「辛くて食べられないんだったら残していいよ。私が全部食べるからね」

 私は不敵に笑った。公一も豚もあんぐりこと口を開けていた。
 楓への追及は、未達に終わった。楓は私に向けて手刀を切って、「サンキュ」と口を動かした。

 すると、引き戸が勢いよく開いた。
 皆の目が釘付けになる。そこには赤いネクタイを締め、眼鏡を掛けた男子生徒が立って居た。


「頼む、オチコボレンジャーに入れてくれ!!」


「……何であなたが?」

 そこに居たのは天堂茂だった。


つづく

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