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380.戦隊学園 ~虹光戦隊コボレンジャー~
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91 :げらっち
2024/05/10(金) 11:24:38
私はコボレメンバーの顔を見回し、改めてそれを告げる。
「私はシティ13の生まれだよ。それが嫌でコボレ辞めたいんなら抜けてもいいよ」
楓はニッと笑みを見せた。
「んなわけねーじゃん! 水臭いぞ! ねっみんな!」
みんなそうだそうだと賛同してくれた。ほわっとお風呂に入ったみたいに心が、温まる。ありがとう。
公一が奴に怒鳴る。
「あほやな。そんな出身とか家系とかに拘るお前の心の方がスラムや。さっさと失せろやかまちょ。でないと八つ裂きにしたるからな!!」
自分の煽りのせいで逆に結束力が高まった事で、天堂茂は一瞬だが顔をしかめた。だがそれも傲慢に早戻り。
「そんな口聞いていいのかな? 教えてくれよ小豆沢。13のお前が僕に逆らってもいいのかな?」
せっかくのお風呂も窓が割られ、冷たい風が吹き込んだ。
返す言葉も無く、私はただ奴を睨み付ける。
「どうしたの七海さん。じゃんじゃん逆らっちゃって下さいよいつもみたいに。あのチンパンジーの言いなりになる必要皆無です」と佐奈。
だが私は逆らえなかった。
私は奴に、いや正確には奴の父親に、恩があるからだ。私は押し黙った。
「ふんっ、それでいいんだよ。父上が居なければお前は生きてさえいないだろうからな」
シティ13は、自分たちの力だけでは生きていけないような孤児や障害者が集められている。このご時世、そんな弱者は切り捨てられても文句が言えない。でも奴の父・天堂任三郎率いる戦隊連合の施しによって13の人々は食事に有り付けてきたし、私は生きてこれた。戦隊連合がそんなチャリティーをするのは恐らく善意の行動ではなく、自分たちが正義であり倫理であると日本中に誇示するためのパフォーマンスだろう。動機はどうあれ私が彼らに恩があるのは、事実なのだ。そんなの関係無い、嫌がらせをされれば反発もするさ。でも私の心にも恩義とかいう楔があって、そのせいで私は天堂茂に100%の反抗ができないでいる!
それは何よりの屈辱だった。
悔しさのあまり目を固く瞑り、顔をしわくちゃにして、涙を流した。
「フザけんな!!」
!?
怒鳴ったのは誰だ、楓だ。
「七海ちゃんにこんな顔させんなよ!!!」
楓は天堂茂に殴り掛かっていた。彼女は奴に恩は無い。借りは無い。気の済むまでぶん殴れる。
だが天堂茂は気を付けの姿勢で動じない。
楓の渾身の反抗は届くことも無く、何者かによって跳ね返された。
「ぎゃん!!」
楓は畳に転げた。室内に大柄な4人の男たちが乱入し、天堂茂を守る壁となったのだった。私は楓に駆け寄る。
「大丈夫!?」
「茂さん、お怪我は無いですか?」
「ご苦労」
4人の男は天堂茂を気遣っていた。
「へぇ……卑劣なあなたにも仲間が居たんだ。どうせ父親絡みの脅しか、金の力で仲間にしたんでしょうけど」
「見当違いだな」
天堂茂は戦隊証を取り出し、口元に当てた。
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